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作:美木 いち佳

クァットロ・カンティの憂雨

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未評価

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最終更新:2020/1/31

作品紹介

手には母の残した旅程表。 これは、彼女の思い出をなぞる旅だった。 カフェ・ノッチョーラの香りに、包まれるまでは。 * 主人公:27歳、朝読小説賞キャッチ:カフェ・ノッチョーラの香りに、包まれるまでは。

恋愛ドラマレトロイタリア朝読小説賞

評価・レビュー

まるでレトロな恋愛映画を見ているかのような作品です

舞台はシチリア島パレルモ、クアットロ・カンティ。 そこは運命の交差する十字路。 ディーナは晴れ渡ったクリアブルーの空を、その色に似つかわしくない憂鬱な瞳で見上げ、急逝した母を追想する。 「まさに、映画のような恋をしたのよ!」 それは女優であった母が主演を務める映画の雨の中のワンシーン。 常に眩い光のもとに立つ晴れ女の彼女が十字路に立ち、ヒロインを演じた瞬間に、晴れ渡っていた空に雲がかかり、突然の雨が降り出す。 彼女曰く、それは「奇跡」 敬愛する母を想い、母の遺した旅程表に視線を落とすと、頬を伝い、ぽつりと一雫。そしてザァッと通り雨。 舞台は一転、銀幕の中へ。 モノクロームに染まるクアットロ・カンティ。 突然の雨に忙しなく駆ける人々の中、ディーナは一人立ち尽くす。 雨に濡れ、母に文句を一つ呟く彼女に、プルシャンブルーの傘が差し出される。 それはまるで、あの映画の脚本をなぞるように…… 一つ一つの言葉の選び、表現の細部に至るまで心を配られた、色彩と情感にあふれる筆致で描かれていて、本当にパレルモの街角、クアットロ・カンティに立ってそのワンシーンを見ているような感覚を抱く素晴らしい作品です。

5.0

藤屋順一