花散らし、乙女 ー The girls are out of bloom on the planet ー
最終更新:2021/6/20
作品紹介
世界戦争後の日本を舞台に、失踪した少女たちの行方をさぐる学園SF美少女小説。さまざまな事情をもった少女たちがあつめられ、自身の『超能力』を駆使し謎の仮面の少女たちにたちむかってゆく。 比較的安全な居住区で育った桔梗(キキョウ)は、その超能力を買われ、突然貧困した家族をたすけるために、日本の中心居住区『コロニーJ』にある『国立ジャパン学園女子部』に潜入することになった。 そこでは、毎年の受験時に少女たちが忽然(こつぜん)ときえる事件が発生していた。あつめられた四人の少女と協力しながら、謎の敵とたたかい、過去の記憶と対峙し、やがて真相へとちかづいていく……。 ※6話オススメ! ※劇中のキャラクターの一部(7名)と制服は、友人(トガワ・アヤさん)にイラストを描いていただきイメージを固めたものです。 ※主人公5人の私服は、別の友人のイメージラフを元に書いております。関西弁の監修も、二章までは彼女にお願いしております。 お二人とも、大変ありがとうございます。
評価・レビュー
何かと引き換えに集められた少女たち。果たして彼女たちの敵の正体とは?
【物語は】 ある亜空間を一人の少女が誰かを探して走っている場面から展開されていく。 彼女が誰で何処にいて誰を探しているのか、この時点では明確にはされていない。これは始まりなのか、それとも分岐点なのか? 本編に入ると、桔梗という人物の視点から始まっていく。 この先に待ち受けるものとは? 【世界観について】 これの舞台の環境は実際に訪れるかも知れない未来だなと感じた。 そこに空想の社会が築かれている印象。 あらすじに書かれているので少し触れても大丈夫だと思われるが、舞台は世界戦争後の日本。戦争によって齎されたのは繫栄や豊かさではなく、環境汚染だった。 そこで人々はコロニーと言われるところで暮らしている。 戦争により、多くのものが失われた世界なのだと思う。 あるコロニーを除いては、そのコロニーごとに問題を抱えているようだ。 そしてこの物語は、そんな中で唯一飢えや病に苦しむことのない特別な『コロニーJ』を中心に展開されていくようだ。 【登場人物について】 途中までは、登場人物の名前が明かされないまま進んでいく。 それぞれに個性があり、彼女たちがこの先どんな関係になっていくのか、いろいろと想像も膨らむ展開の仕方である。 その後物語の中では、それぞれの出身やコロニーについて明かされ、何故彼女たちがこの場所に集められたのか分かってくる。 そして、それぞれがどんな能力を持っているのかも明かされ、物語は面白さを増す。だがもしかしたら、この場面で明かされるのは能力の一部かも知れない。 あくまでも個人の印象ではあるが、大切なのは彼女たちが初対面の人々とどんな風に動くかということにあるのだと思う。 【物語の魅力】 登場人物に学生らしさを感じる物語だと思う。 大人になると他人と仲良くなるのに、それなりに時間を要するものだと思う。もちろん性格にもよるだろうが。 それに比べ、学生というのは新しい環境で友人を作ろうとするものだと思う。もちろんそこにも多様性はあるだろうが、社会人よりもずっとハードルは低いと思う。 気が合えばすぐに仲良くなれるだろうし、連帯感に置いても学生の方が築きやすいと思う。社会人に比べ仲間意識を持ちやすい環境にあるのが、学生だと感じる。 そういう意味でも、学生らしさが出ている作品だと思う。 そしてそれぞれの個性、性格だったり能力だったりが際立っているように感じた。 彼女がこれから何をすべきなのか。事件はどんなものなのか。 それらが徐々に明らかになるのも面白い部分だと思う。 全体的に明るい雰囲気で進んでいく物語であり、登場人物たちに一番魅力を感じた。 【物語の見どころ】 途中までは、この世界がどんなところであるのか? それぞれの性格や今までどんなところで暮らしていたのか、彼女たちの具体的な能力についてが明かされる。 そして彼女たちを集めた人が何者なのか、なにを目的としているのかなども分かってくる。 この物語は、実際に学園に乗りこんでからが見どころだと思う。 世界観の設定が細かく、徐々にそれぞれの事情などが詳しく明かされていく。 それでもかなり謎の多い部分があり、伏線と感じるところもある。 その為、好奇心が刺激される物語であるとも思う。 各視点から物語は進んでいくが、どんな終着点に辿り着くのか今の段階では分からない。 彼女たちにはだかる敵の正体とは一体? 果たして失踪事件の真相とは? あなたもお手に取られてみませんか? この事件の真相をぜひその目で確かめてみてくださいね。 【備考】 2.SIDE 夏芽(ナツメ)第1話 ナツメとヒヤシンスまで拝読
crazy's7
セーラームーン的にとびきりクールなガールズSF群像劇
世界戦争後の日本「コロニーJ」にある国立ジャパン学園に集められた少女たち。 桔梗、夏芽、木蓮、朝顔、牡丹。 彼女たちは、特殊能力を活かして謎の敵と戦いながら、皆、過去や苦悩とも戦っていた。 それぞれの成長、絡み合うストーリー。 章ごとに主人公を変えながら描くSF群像劇は、すこし荒廃的な世界観ともマッチしていてよかったです。余韻を残したエンディングに着地するのも良かった。 なによりも、どのキャラクターもそれぞれに一本筋が通っていて、愛すべき存在だと感じました。百合SFっていうか、セーラームーン的なクールさを感じましたね。
嶌田あき