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作:とりむね

泣き虫天女と不思議な絵描き

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未評価

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最終更新:2021/7/14

作品紹介

働き者の村娘の紅緒は描いた絵に命を吹き込む事ができます。ある年、紅緒は、龍の捧げものに選ばれて五色池へ行きますが、そこで出会った泣き虫な天女を助け出そうと決心します。紅緒は龍と「素早さ」「迫力」「力強さ」の三本勝負をすることになりました。 野上さんの自主企画「子供と楽しむ作品」コンテストの小説部門の参加作品です。 漢字が多い作品ですが、全てルビを振っています。 子供が読む事も出来ますが、昔話を語るように読み聞かせにも向いているお話です。 子供と楽しむ作品コンテストの特別賞を受賞しました。特典で頂きましたファルさんのイラストが表紙になりました。

童話昔話童話/絵本/その他子供と楽しむ作品コンテスト枠小説部門

評価・レビュー

形のない色糸で編まれた物語

短編:5,000字 読了目安:10分  あなたは誰にも追いつけない素早さがありますか?  もしくは誰にも負けない迫力がありますか?  あるいは誰にも押し出されない力強さがありますか?  むかしむかし、ある村に紅緒という娘が暮らしていました。彼女の描いた絵には不思議な力がありましたけれど、それ以外は何処にでもいそうな普通の村娘です。  紅緒の住む村には、五色に輝く五色池から流れる小糸川というのがあり、夏が近付くと雨も降っていないのに氾濫するそうです。それを治めるため、五色池に住む龍へ村の娘を捧げており、今年は紅緒の番だそうな。  池までの案内にはカラスが現れるのですが、その色も変わっています。なにせ五色に輝く池へ向かうわけですし、もしかしたら深い意味が込められているのかも。  やがて龍と対面した紅緒は三つの勝負をします。しかし、その勝負は素早さや迫力、ましてや力強さに自信のある龍にとって有利に思えます。  ここで始めに書いた三つの質問を思い出してください。  一つでも持っているのなら素晴らしいことですが、水神様と崇められる龍を前にしたのなら、とても誇る気にはなれないと思います。  残念ながら紅緒には三つともありませんけれど、彼女の描いた絵には不思議な力があります。  ぜひあなたの目で、紅緒と龍との勝負の行方をたしかめてくださればと。    ところで大修館書店の明鏡国語辞典によれば、「緒」という漢字について「細長いひも」の意味の他に、「長く続くもの」というのがあるようで。  紅緒は負ければ自分を食べるという龍を前にしても怖がりません。自分のできることを活かし、果敢に龍へと挑みます。  私には紅緒が不思議な絵の力の他に、決して諦めない心の強さを持っているように思いました。それが彼女と出会う天女をも勇気づけ、二人が手を携えて編まれた物語は、末永く読んだ人の心に残り続けることでしょう。

4.0

双六 人生