ド田舎おっさん商人は、数奇なカルマに今日も足掻いて

辺境の村に住むリアムは一見、しがない壮年期の交易商人。 かつて暗殺者だった彼はひとつだけ……面倒な、ある資質を抱えていた。 『九死一生(Escape the Fate)』という奇運。 いわゆる＜不幸中の幸い＞が、彼の人生には過剰に降りかかるのだ。 傍目からみれば運が悪すぎる……が、いつもギリギリのところで助かっている。 生まれてこの方……どう考えても絶望するしかない状況に 幾度となく襲われながらも、今日まで彼は生き延びてきた。 そんな、面倒な天分と付き合いながら辛い過去を忘れ ぼちぼちと辺境にて交易商を営むおっさんを 巨大な時代のうねりと、歴史の真実が、勝手に飲み込んでいく――――