ヴィシュタイン・コピーライト
最終更新:2021/2/1
作品紹介
あらすじ: 時は20世紀初頭、イングレス連合王国首都、ロンドン。 産業革命による蒸気機関の急激な発達によって人々の暮らしは豊かなものとなり、 芸術文化の花開く土壌が、上流階級から労働者にまで幅広く広がっていた。 パトロン付きの十七歳のピアニスト、アンジェラは、一ヶ月後に迫るロンドンピアノコンペティションで優勝しないと家を追い出されてしまう。 しかし調子は絶不調。諦め気味のアンジェラは夜になると屋敷を抜け出し、街のバーでジャズピアノを弾く毎日。 そんなある日、ピアニストとしても一流の調律師、アドニスと出会う。 とある依頼でアンジェラは、超絶技巧の右手専用ピアノ曲『右手のためのピアノ独奏曲』を演奏しなければならなくなり、 アドニスのレッスンを受けて、その才能を開花させていくのだが……。 その裏では、大きな陰謀が渦巻いていた。 曲に隠された秘密。 謎多きピアノ調律師。 裏世界で暗躍する男達。 霧煙る街ロンドンで、人々の思惑は交錯し、複雑に絡み合う。 十七歳の少女が奏でるピアノが、それを解きほぐす鍵になるとも知らずに。 --------------------------------------------------------------------- コンセプトは、ピアノ × 冒険 × スチームパンク‼ 読んでてワクワクする! 続きが気になる! そんな気分になってもらいたくて書いてます。 ついに全三部、完結! (2021/2/1) --------------------------------------------------------------------- 2022/2/22 第34回星海社FICTIONS新人賞 座談会に取り上げられました! 2021/11/1 メフィスト賞2021下期 印象に残った作品に選ばれました! ※作者Twitter: https://twitter.com/tomoyuki2019 ※表紙絵: 小石のような男 @koishiotoko 様
評価・レビュー
二つの曲が交差するとき、物語は鮮烈に動き出す
時は20世紀初頭。 イングレス連合王国の首都ロンドンにあるピアノバーで専属ピアニストをしていた十七歳の少女、アンジェラは、ある日ピアノバーにやってきたイケメン調律師アドニスと出会う。 彼のレッスンを受けて超絶技巧のピアノ演奏曲『右手のためのピアノ独奏曲』をマスターし、ロンドンピアノコンペティションで優勝しなければならなくなったアンジェラだったが──? この作品の魅力は、冒頭から登場してくる馬車や蒸気自動車など、時代背景を色濃く伝えてくる描写の巧みさ。 アンジェラなど魅力的なヒロインが見せる細やかな仕草。 アンジェラがアドニスからピアノのレッスンを受けるさいに描かれる、ピアノに対する作者の知識量。 等々といったところでしょうが、一番の魅力は、理詰めされた物語の設定、構成と、巧みに張り巡らされた伏線でしょうか。 ここで、私が特に大好きなエピソードをふたつ紹介します。 ※1─4 ピアノステージ アドニスとアンジェラがピアノ連弾で対決するシーンなのですが、とにかく疾走感と躍動感が凄い! 私が自作の中で戦闘シーンの参考にさせて頂いた回です。 ピアノなのに戦闘シーンの参考になるの? と疑問に思うかもしれませんが、百聞は一見に如かず。まあ、見てみなさいって。 ※5─3 期待以上の演奏を アンジェラが得意としている『鎮魂歌』 マスターしなければならない『右手のためのピアノ独奏曲』に隠された秘密。 そしてタイトルに隠されているヒント。 何故、ヴィシュタインなのか? 何故、コピーライトなのか? 所々に配置されたこれらの情報がひとつに繋がったとき、鳥肌もののタイトル回収劇がやってきます。それがこの「期待以上の演奏を」の回なのです。ここから先はもうノンストップ。ページを捲る手が止まらなくなるでしょう。 さあ、今こそあなたも、音楽×冒険×スチームパンクの世界へ!
木立花音(こだちかのん)
ピアノ×ライトノベル×20世紀初頭のスチームパンク
音楽を主題に据えたロンドンを舞台にしたスチームパンク。復讐という闇を隠し持つ主人公アドニスが、パトロンを探している少女アンジェラに成り行きで師事をするところから始まります。 登場人物達はみな個性的でノリもよく生き生きとしています。キャラの背景もきちんとあってしんみり出来たり、萌えポイントもあって楽しめるラノベです。
あっ