ペンと剣、酒場にて。 ~異世界に来て勇者にも冒険者にもなれなかったが、飲み友達は出来た。
最終更新:2023/12/21
作品紹介
こちらの世界に来てもうすぐ十年目に突入する。 幸いにして高校に入るまで九年間剣道を習っていたおかげで身を守る程度には立ち回れたが、盗賊だの魔物だのいる世界ではそれだけだった。 どんなに努力しても根本的に生きるか死ぬかの世界で育ってきた連中の中で特別になれるわけもなく。今は流れ着いた街に住む貴族のところで私兵をしている。 元の世界に戻れるのかなんて不安や、こんな世界に来たんだから一花咲かせたい。なんて思いがなかったわけでもないが、人生なんて結局こんなもんだ。 そんなわけで。昼は特に危険なこともない平和な街で剣を携えてお貴族様のお屋敷を守りつつ、夜は近所にある酒場に顔を出す。 そうすると大抵、作家のジルがグラスを片手に上機嫌で俺を見て笑うのだ。 「よっす、ネタ切れなんだ。なんか新刊のネタになりそうな話ない?」 俺を本のネタにするのはやめてくれ。 **** noteにも重複投稿しています。
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