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作:葉霜雁景

友士灯―ともしび― 探求編

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未評価

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最終更新:2024/2/12

作品紹介

 目の前にいる相手と戦うこと以外、全てどうでもいい。それに勝ることなど、世界のどこにも存在してはいない。  最幸の殺し合いができるお互いを友とし、けれど人の側にいるべく欲を封じ苦悩する少年少女の、黄昏と灯明の和風ファンタジー成長譚。  花街の自警団に所属する少女、志乃は妖雛(ようすう)――人間でありながら、妖怪でもある希少な存在。人外由来の能力を持つが、それ故に人と同じ場所にいることができなくなる彼ら彼女らは、道具として都に徴兵され、〈物の怪〉と呼ばれる異形と戦わなければならなかった。  畏怖も忌避も、道具と見なされることも笑ってあっさり受け入れ、徴兵の日を待っていた志乃だが、他者から「先生」と仰がれる初老の男性、直武の旅に同行することが急遽決まる。その旅は、志乃を片割れと称し斬り合ったもう一人の妖雛、境田芳親を育てるための旅でもあった。 「君たちは、意思なく志も無い道具ではない。人間だ。だからこそ、灯火を得て進まなければならない。掴みとりたいものと、そこまでの道を照らす灯火を見つけなさい」  ――進む道を照らす火は、自分で灯さなければならない。  これは、空虚な半妖の少年少女が心の灯火を得るまでの物語。逃れられない性質と向き合い、行いへの応報を受け、それでも二人は夢を見る。人の側を望みながら、最果ての理想に焦がれ続ける。

冒険女主人公ファンタジーシリアス和風妖怪和風ファンタジー物の怪俺っ娘

評価・レビュー

人と妖の狭間に生まれて——『妖雛』の少女は心に灯火を得られるか

物の怪の蔓延る世に、人を護るため生み出された妖雛。 彼らは長じれば人妖となり、道具としてただ物の怪を倒すことを求められる。 夜蝶の志乃こと花居志乃もまた、そのような生を歩むはずだったが……数々の出逢い、経験、想いが彼女の心を育んでいく。 腰を据えて読める、本格派和風ファンタジーです。 特に優れているのが、人でもなければ妖怪でもない主人公・志乃の難しい心情を、逃げることなく丁寧に描かれている点です。 我々人間とは違った感性の彼女が、物事をどう捉えて何を思うかは、想像で補うのもなかなか難しいことだと思いますが、こちらの作品ではその全てが説得力があると言いますか、納得できる形で描き出されています。 少しずつ、でも着実に人の心に寄り添おうとしていく志乃。いつの間にか、彼女を応援したくて堪らなくなっている自分に気づかされます。 そして彼女を取り巻く人物たちも、皆魅力的で。 特に同年代の妖雛である芳親、そして治療術の使い手である茉白——志乃にとって初めての友達となる二人とのやり取りは必見です。 丁寧な筆致で描かれる、濃密な和風ファンタジー。 描かれた世界を心ごと旅できる素敵なお話で、大変お勧めできる一作です。

5.0

If

巧みな構成。深い物語。和風ファンタジーの傑作。

 妖雛(ようすう)。人間でありながら妖怪でもある存在。「物の怪」と呼ばれる異形の魔物と戦う宿命を背負った妖雛の少女を主人公にした、和風ファンタジーです。  三人称でありながら、情感豊かに綴られる地の文。  重厚に練りこまれた世界観。  自分の事を「俺」と呼び、明るい口調で話す妖雛の少女、志乃。一見おどおどしているようで、凜とした佇まいを見せる妖雛の少年、芳親。彼女らを取り巻く、魅力的な登場人物たち。  本作の魅力はそれこそ語りつくせない程あるのですが、なによりもテンポよく進む物語でしょうか。  世界観を説明しながら、どんどん展開が進行していく第一章。  志乃の過去に触れ、一転しておだやかなテンポで進む第二章。  読めば読むほどに、巧みな構成力に舌を巻くこと請け合いです。  ──長閑な春の道。  ──ゆったりと進んでいく彼女たち。  志乃が辿った冒険活劇を、追いかけてみませんか?

5.0

木立花音(こだちかのん)