その祈りは獣に捧ぐ
最終更新:2021/12/7
作品紹介
《ケモノ》と呼ばれる、人食いの怪物が跋扈する時代。 対抗手段は作られた存在である《巫女》と《槍持ち》だけだった。高価な巫女は感情を与えられず、護衛役の槍持ちは使い捨てのように命を落としていく。 それが当たり前の世界。 槍持ちの少年《ユウスケ》は、そんな世界で必死に生きていた。 ある時、ユウスケの配属されていた装甲列車がトラブルで停車してしまう。その隙に大量のケモノに襲われ、ユウスケ以外の槍持ちや巫女のほとんどが食い尽くされてしまった。 辛うじて生き残ったユウスケは、逃げ込んだ貨物室で巫女の少女「リホ」と出会う。 だが 「うん。結局は私も巫女だから。祈りを保存するのに適していたってだけだよ。なんなら、不良品」 彼女は、そんな自虐めいた言葉を告げた。 貨物室にはもうひとつ、金属で作られた巨人が鎮座していた。 《機人》 その2メートルを超える威容の名称だ。 それは、二人をこの絶望の状況から救う切り札だった。 これまで動くことのなかった機人は、ユウスケを操縦者として受け入れる。 そしてユウスケは、リホを救うため、機人を駆りケモノの集団を蹂躙した。 「優しくって私を助けてくれるから、あなたは優助」 彼女からもらったその名が、少年の心に火を灯す。 これは、使い捨ての少年であったユウスケが、不良品の少女と金属の巨人と出会うことで、未来を変える物語。 作者:日諸 畔(ひもろ ほとり)
評価・レビュー
ガンダム×成り上がり×ボーイミーツガールな良作
「人間」が生産され使い捨ての兵器扱いされる時代、使い捨ての一人だった少年がある日トラブルに巻き込まれ、ある少女と謎のロボットと出会うところから始まる小説です。少年が運命と向き合うさまは成り上がりやガンダムのように熱いのに、オフ時の恋愛パートが物凄くラブラブ。凄くイチャイチャしてる。そのギャップも面白いです。 SFやガンダムが好きな方は楽しめる良作です。気になりましたら是非!
あっ
まるでアニメのような..
これは、まるでアニメを文章で見ている感覚に陥る! 登場人物とロボット達が必死に動く様が、文章を通じ感じる! そんな作品をあなたは読みたくないですか? ならば、この作品を読め!!
雑食ベアー
硬派なロボ物SF! 命の価値を問え
”命”を生産できる科学力。まるで工業製品のように生み出されて行く彼ら。「槍持ち」と「巫女」は、まさに使い捨ての消耗品。 都市を一歩出るとそこは瓦礫と荒涼の大地。ケモノという、襲い来る脅威から「人間」を護るため、槍持ちと巫女は今日も命を散らす。 槍持ちがケモノに槍を立て、巫女がそれに祈りを届けてやっと、ケモノを倒す事が出来るから、常に前線に立つのは彼らだった。 火薬を使う重火器は貴重品で、作られた生命体は安い。現代の倫理観からは相容れない重い設定の中、主人公ユウスケは槍持ちであるという。 当然彼も、死地に飛び出して行く。そして訪れる全滅の危機に、護衛していた列車の中で運命の出会い。 不良品の巫女リホ、そして機人……! 機人に導かれるように乗り込み、ケモノを蹴散らしていく無双のバトル。 それをきっかけにユウスケは大きく運命を流転。この流れが本当に熱い! ケモノとはいったい何なのかという謎、機人の運用を巡る人々の欲や思惑が錯綜し、仲間、家族、そして恋人という存在を得て、作られたはずの命は輝きを増す。 重い世界観の中にいくつもの愛を織り込み、人間の愚かさと命の価値を問う、熱いロボット物が世みたい方におすすめしたい。
MACK