エンディング後の魔法少女は己の正体をひた隠す

これは魔法少女物ではない。痴女になってでも人々を守ろうとする感動物だ！

「魔法少女」と言う異能の力によりかつて世界を救った英雄である主人公は現在正体を隠し、一介のの教師として暮らしていました。何故なら、その力を使えば２６歳なのに当時のままの「魔法少女」の格好になり、「魔法少女」らしく振る舞わなくてはならないからです！　当然サイズが合わないのでワカメちゃんもかくやのぴちぴちスカートと言った具合の痴女っぷり。正義の味方なのに、敵にまで痴女だとドン引きされる悲しき魔法少女、それが主人公だったのです。 しかし元々熱い正義の心を持っていた主人公なので、大事な生徒たちにピンチが訪れると泣く泣く力を使うしかありません。そんな涙なしには読めない健気な主人公の現代異能ファンタジーです。 正体を隠しているが故の二重生活のようなドタバタ感も楽しいですし、ないより主人公が善人で真面目で、でもちょっと抜けていて可愛らしくて応援したくなります。そんな魅力的な主人公は登場キャラクターたちもどんどん魅了していき、性別を問わずたくさんの人に好かれていきます。 同性婚もありな世界なので、普通に男女問わず恋愛感情を向けられていて、百合的にも十分楽しめます。 ２００万文字近いボリュームで読み応えもあり、生徒だけではなくたくさんのキャラクターがでてくるのですが、モブに終わらずそれぞれが個性的で魅力的なキャラクターばかりです。生徒達もみなそれぞれの個性を生かして戦闘面でも頼もしくなっていくので、成長物語としても楽しめます。 何があっても主人公が変身すれば絶対勝つと言う安心感もあり、ピンチも楽しんで読めます。最終的に変身した主人公が痴女を晒したことに死にたい……となるお約束のオチもあり、子供向けアニメの鉄板感を思い起こされる構成がまた楽しいです。 沢山のキャラクターがいるので、必ず一人は推しができると思います。 ただ、個別ルートもいつか、と言う言葉を信じて待っているけどプロット紛失もあったりしてから三年になるし他作品で書籍化してるからもうないだろうと覚悟しつつ、筆を折るまでは待ちたい。と思うくらいには面白い作品なので、おすすめです。