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作・MACK

マリオネットインテグレーター

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【作品紹介】

 精霊が、平和のための言葉を紡ぐ国があった。  人々はその言葉を実行し、長い平穏の日々を続けてきたが、運命の小石が転がりはじめ、やがてそれは大きな塊に。この国は変わるのか、それとも、変えなければいけないのか。  騎士団の新入りカート・サージアントが騎士団員としての”はじめてのおつかい”でたどり着いた塔は襲撃を受け、廃墟と化していた。  そこで出会った口の悪い魔導士、人形遣いのピア・キッシュ。  住む家のないカートと、彼は一緒に暮らす事を提案し、少年はそれを受け入れて共同生活が始まる。  厳しい躾けを受け、感情を露わにできないカートであったが、自由気ままなピアとの生活で少しずつ前に進んでいく。  身分の高い貴族のアーノルドに虐められつつ、上手くかわしながら地下道の不審者の謎の調査を続けるカート。  精霊の言葉だけで行動する人々というものに、「まるで人形のようだ」と、徐々に疑問を感じるようになったカートをピアは導きつつ、彼自身の問題である幼馴染の不安定な関係にも決着をつける日がやって来る。  身分差、性差、友情と愛情の狭間の恋。人の心を縛る愛という感情と、見えない他者の意図が社会に絡む。  カートはやがて、国に訪れる危機に巻き込まれつつ立ち向かっていく。  これは、一人の少年の成長物語。 主要キャラ設定画: http://mack-cg.doorblog.jp/archives/8165283.html イメージイラスト: http://mack-cg.doorblog.jp/archives/8165287.html (C)Copyrights 2021/03/01 MACK All Rights Reserved

ファンタジー 異世界 ハッピーエンド 剣と魔法 ハイファンタジー 転移/転生なし 一般向け 転生&転移無し チート&無双なし

投稿されたレビュー

全てが一つの交わりを持ち、繋りをみせた時、物語は大きく動き始める。

【簡単なあらすじ】 ジャンル:異世界ファンタジー 精霊の言葉を聞き、平和を守る国で、それはある変化をもたらした。本人も知らずに。ゆっくりと変わり始める、内情。それに気づかぬ人々。主人公は、精霊のいいなりになっている国や民に疑問を抱き始める。そしてかつての幼馴染みのヘイグとピアはそれぞれ、異変を感じ取っていた。果たしてこの国はどうなってしまうのだろうか? 次々と消されていく魔導士たちとその目的とは? 【物語の始まりは】 騎士団長の息子、ヘイグがある石を拾った経緯から始まっていく。幼馴染みと秘密基地へ向かった帰り、彼はある不思議な意思を拾う。だがその石は、父への届け物をしに城へ行った際、宰相にぶつかり失くしてしまう。彼はその石に特別な思い入れがなかったのか、その後忘れてしまうが石を拾った宰相に変化が訪れる。普段ならば理性のある宰相が、女王に対しとんでもないことをしてしまうのであった。 【舞台や世界観、方向性】 インテグレーターとは? ……統合・集約するという意味。 精霊国ラザフォード……精霊が、平和のための言葉を紡ぐ国(あらすじより) 女王は世襲制ではない。数百年もの間、先代が亡くなると時期女王として、貴族の十八歳の令嬢の中から精霊の声を聞く事の出来た者が選出される。 女王がグリエルマに変わってからは、次々と新しい政策が出され、国に変化が起きている。 【主人公と登場人物について】 〈幼馴染みたち〉 ヘイグ……のちに騎士団員長となる。(騎士団長の息子) ピア……のちに魔導士となる。ヘイグたちの幼馴染み。 グリエルマ……のちに新女王となる。女王になりたくないと思っていた少女であるが、五年後女王としての評判は良いようである。 〈主人公〉 カート・サージアント……五話から登場。父親が不明であり、酒場で育つ。 【物語について】 ヘイグが拾った石に何か特別な力があるのかは現時点では分らないが、宰相の行動は彼らのその先の運命に、間接的ではあるが関わっている。 彼の起こした行動が発端となり、彼女は引きこもってしまう。信頼関係にあった侍女が一年で辞めてしまうなど謎が多く、この時の女王は最終的に盲目による転落死とはなっているが、不可解な点が多いまま。いずれ謎の部分については明かされるのかも知れない。 時期女王選定の日、ヘイグは騎士団員として護衛を行っていた。普段なら強固な防御の魔法陣がしかれているはずの場所であるのに、突如魔物の襲撃に遭ってしまう。魔物たちが狙っているのは、明かに女王候補の娘たちであった。混乱の最中、加勢に来てくれたのが幼馴染みの魔導士。女王候補の一人に子供の頃一緒に秘密基地へ行った、主人公の親戚であり幼馴染みの少女もいたが、攻撃は免れたものの壁際で蹲っていたのである。何とか彼女を助けようとする二人は、魔物の様子が何かおかしいことに気づく。魔物を退けた後の惨状は悲惨であり、女性候補の中で生き残ったのは幼馴染みの少女だけであった。こうして、選ばれることなく女王となった新女王の時代は幕を開ける。 それから五年。酒場で暮らしていた少年は、父のように面倒を見てくれていた主人に家を出るように促される。この酒場で働いていた母が亡くなり、自分も兵士として働くことになれば店の手伝いができなくなるためである。しかし彼は14歳。兵士となれるのは15歳からのようで、それまでの猶予を貰うことにしたのだが……。 【良い点(箇条書き)】 ・この物語では、貴族と庶民の差がはっきりしており、待遇の理由も理解できる部分が多い。 ・主人公と酒場の主人がすれ違う場面でのリアリティ。 人の顔いろを伺いながら生きている彼には、それを察することは難しいと思われる。これはあくまでも私見でしかないが、母のしつけのせいだけではなく、肩身の狭い想いをしている彼には、労働なくして甘えることは性格上難しいと思われる。そんな理由からも、彼が酒場の主人に甘えられないというのは、とても理解できる。そんな理由により、すれ違ったことに対してリアリティを持たせていると感じた。 ・この物語には、”良い人”が多い。善人という意味であるが。しかし、それだけでなく、主人公に対して嫌がらせをする人もいる。貴族が人として落ちたという部分もしっかりと描かれている為、兵士の気持ちにも共感が産まれる。 ・伏線が回収される部分が見事である。(これはその部分では、明確には記載されてはいないが) 【備考(補足)】第三章三話まで拝読 【見どころ】 一章は、プロローグ編となるようである。この国がどんな国であるのか、女王の代替わりの経緯、そして主人公が庶民であるにも関わらず、騎士として選ばれた経緯などが語られていく。冒頭での幼馴染み三人は、後にそれぞれ国に何らかの形で関わっており、主人公との関りもあるようだ。 主人公は、生前母の働いていた酒場で世話になっていたが、14歳のある日いつまでもここへは居られないことを悟る。(直接言われるわけではあるが)しかし、酒場の主人は追い出したいわけではなかった。その主人の想いは彼に伝わることはないまま、彼は騎士として巣立つことになった。騎士になった経緯については、青天の霹靂といってもいいのではないだろうか? 恐らく庶民にとってこの事例は異例であり、本来なら光栄なのであろうが15になったら出て行かなくてはならない彼にとっては、有難くないものであった。その後、家のない彼は宿直室に泊まる許可を団長より貰うこととなる。 住むところのなくなった彼にとって、転機が訪れたのは身分の高い貴族からの嫌がらせに気づいている団長の計らい、あるお使いによるものであった。そこで彼は魔物に襲われている少女にをみつけるのだ。彼女を救ったことがきっかけで、主人公はその後と一緒に暮らすことになる。 主人公は騎士になってすぐに色んな経験をしていく。貴族には庶民として嫌がらせを受けるが、周りの大人にはその立ち居振る舞いから好印象を与えていくのだ。つまり、彼は周りに何にかしらの影響を与えていく人物なのではないだろうか? と推測してしまう。彼自身の成長も見られるが、それによって何かが変わり始めるのではないだろうか? 全てが繋がり始め、なるほどと感じ始めるのは第三章に入ってから。人によって感じ方は違うだろうが、それは核心に変わるかもしれない。さて、彼らはどう動いて行くのだろうか? そして物語の結末とは? あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? お奨めです。

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crazy'[email protected]レビュー師with優人

もつれた運命の糸に絡めとられる人々と、抗う少年とそれを見守る魔術師と

 水晶木という精霊の宿る木が選ぶ女王が統べる国ラザフォード。  その国で、三人の幼馴染の少年少女がとある秘密の場所で小さな黒いかけらを見つけるところから物語が始まります。  女王に一目惚れし、彼女に近づきたい一心で宰相にまで上り詰めた男。  次代の女王選定の儀式で、思わぬ運命に巻き込まれるかつての幼馴染の三人の男女。  父を知らず、母をも亡くした上に、突然精霊の導きによって騎士に任命された少年。  それぞれが見えない糸に操られるように、思わぬ運命に巻き込まれていきます。  精霊の言葉によって安寧を得てきた国で、人々はどのように生きていくべきなのか。国を治めるということは、あるいは、人を愛するということとは。 登場人物たちが投げかけるさまざまな問いは、読んでいるこちらにも深く突き刺さります。  個人的には、ひどく身勝手に見えたヴィットリオもまた、そもそもの初めから運命の糸に絡め取られ、けれど抗い続けてきたにもかかわらず、彼が選び取った運命を思うと、何ともやりきれない気がしてしまいました。  少しずつみんながすれ違ってしまっていったそれぞれの想いが、「あれ」の意思によるものなのか、あるいはいずれにしても避け得ない運命だったのか……。  とはいえ、自身もまた運命に翻弄されながらもまっすぐに立ち向かっていくカートと、彼を見守り、時には共に戦うピア、そして、何とも鼻持ちならない意地悪な少年だったアーノルドがふとしたきっかけで変わり、成長していったことで、たとえ困難が降りかかるとしても、自ら考え、行動を起こせば未来を切り開くことができる——そんな風に希望を感じることができた気がします。  丁寧に織り上げられた世界観と、複雑に絡み合った人の想いと、少年たちのまっすぐな意志と強さ。じっくりと読んで、ぜひ、この世界に浸って欲しい一作です。

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橘 紀里

少年よ、その剣で未来をひらけ。恋と願いが絡みあう救国冒険ファンタジー。

 新入り騎士の少年カートと人形遣いの魔導士ピアを中心として描かれる、謎と企みと、(主人公以外の)恋の三角関係がもつれあう冒険ファンタジーです。  丁寧な伏線と、人物それぞれの人間関係が、物語の味わいを深めていました。  冒頭で畳みかけるように事件が起き、年代が飛んで主人公が登場、という構成になっていますが、この事件それぞれが後の謎を解き明かすための鍵ともなってきます。  主人公カートが登場するのは第一章の第五話ですが、彼がとても良い子で可愛いのです……!  品行方正で礼儀正しく、目上の者に敬意を示し、理不尽な仕打ちにもじっと耐え、――と、正直この辺りで「我慢しちゃうの!?」という気持ちが湧いてくるのですが、カートのそういう姿勢が変化してゆくのも、この物語で描かれてゆく少年の『成長』だったりするわけです。  全体を通して、登場人物たちの言動や思想には理由があり、意味があり、終盤の謎解きターンで真相がぐいぐいと明らかになってゆくのが本当に面白い。謎と伏線も複雑すぎることはなく、適度な推理が楽しめます。  テーマのはっきりした物語でもありますから、読み進めていく中でふと手を止め、作中で問い掛けられることを考えてみるのもよいでしょう。  王道ながらもじっくり深く楽しめる、少年たちの成長物語。文庫本一冊程度の完結作品です。ぜひご一読ください。

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眞城白歌

考えさせられる物語です

精霊の国と謡われる平和な国、ラザフォード。この国には精霊が住まう水晶木が植えられており、女王は精霊の声に従って国を統治する。 精霊の声を聞く代わりに平和を手に入れたラザフォード国だったが、その代償に、人々は自ら考えることをやめてしまった── 精霊の導きにより、ある日突然騎士に任命されてしまった少年カートの視点で物語は進んでいきますが、現宰相のヴィットリオをはじめとして、現女王であるグリエルマ、騎士団長のヘイグ、人形使いの魔導士ピアと、三人の幼馴染み達の運命も物語に複雑に絡みこんでいきます。 かなりテーマ性の深い物語で、ことあるごとに「精霊の言うことを盲信し、思考を放棄するのはどういうことなのか?」が繰り返し語られています。 物語の内容自体もよくできており、完結させてから連載しているのもあって物語に矛盾がありません。1章は登場人物が多いので、物語の全体像を把握するまでに時間がかかるかもしれませんが、そこで読むのをやめてしまうのは非常に勿体無いです。 各所に伏線が丁寧に張り巡らされており、最後の伏線回収も見事です。 読み終わってからも再読したのですが、「あ~これはあれだったのか~」と謎解きがすべて終わってから読むとまた違った面白さがありました。 自ら思考することを放棄してしまった者達が、愛するものの為に、自分の信じるものの為に支配の糸を絶ちきって行動していく姿には、心を揺さぶられます。 自分で自分の運命を決めるのは、自分の魂が叫んだ時。誰かを、何かを想う強い気持ちが、精霊の支配から彼らを解放していきます。 大きな選択であればあるほど、自分の意思で決断することは不安がつきまとうものですが、その時はぜひこの物語を読んでみてください。 運命に抗う彼らの姿に、きっと勇気をもらえるはずです。 ※カクヨムで続編「マリオネットインテグレーター2」も公開中です。

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結月 花

作品の評価分布

5.0~

9

4.0~

0

3.0~

0

2.0~

0

1.0~

0

未評価

0

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