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作:灰崎千尋

瑠璃色の髪の乙女

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未評価

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最終更新:2020/1/24

作品紹介

色々あって地球からほとんどの生物が火星へ移住してしまってから幾星霜。 ちょっと辺鄙な場所で風変わりなオーナーとアンドロイドが営む小さなスタンドの、ささやかなお話。

SFカクヨムオンリー宇宙アンドロイド第一回こむら川小説大賞

評価・レビュー

小さな物語の中、描き出された人々の確かな温かみ

地球と火星の間、小さな燃料スタンドで働くアンドロイドのお話。 語りの調子がものすごく流麗で、気がつけば完全に引き込まれていました。 主人公であるアンドロイドが、読み手に向けて自分のことを語る形式。自然で柔らかなその話しぶりの中に、でも必要な情報を過不足なく載せる語りの技巧。 読んでいてものすごく気持ちがよくて、読んだ内容がスルスル頭に入ってきて、まるで光景が自然と脳内に浮かぶような、そんな不思議な心地よさがありました。 話の筋そのものは決して壮絶なものではなく、本当にただ主人公の暮らしぶりをそのまま活写しただけのもの。なのにこんなにも強く心の奥に染みてくる。物語の中に生きる〝人物〟を、彼らの熱や息遣いのようなものを、文字の向こうからしっかり届けてくれる。 面白かったです。実に心地の良い、とても素敵な読書体験でした。

5.0

和田島イサキ

宇宙の中の柔らかさとロマン

「みひつのこい」を拝読した時にも思ったんですが、冒頭で状況を示すのが本当にお上手で。 書き手の方は分かってくださると思うんですけど、冒頭って焦るじゃないですか。ああ、あれも提示して、これも言ってって、どうやって読者を物語に乗せようか腐心する。読者が想像を働かせて物語に入っていけるだけの情報は示さないといけない。それでややもすると、すごく説明くさくなったり、或いはそれを避けようとした結果、なんだかよく分からなくなる。 でも本作はすごくすんなり読ませた上で、物語の背景とかがしっかり分かるようになっていて。あの、好きなセリフ挙げていいですか。 「さぁ起きて、オーナー。今日も地球がきれいよ」 一回目に読んだ時しばらく固まりました。あまりに見事なので。そりゃ、読む前にキャプションは見ているのでそういう場所の話だということは分かっているんですけど、小説本体の冒頭は、「ああ近未来なんだな」くらいでどこか分からない。でもあのセリフでいきなり”位置関係”を叩き込まれるんですよね。世界がわっと広がる。実際地球見えましたし。このセリフがあるから次の” ここは地球と火星の間にある、小さな燃料スタンド。”という一文がすとんと入ってくるんですよ。それを読んだ途端、地球と火星を入れ込んで宇宙の中の燃料スタンドを捉えた遠景が目の前に広がる……という。見事です。 レビューのひとこと紹介は悩んだんですけど、宇宙の中の柔らかさとロマンで。柔らかさはオーナーとシレーネの関係性であったり、文章が持つ雰囲気の柔らかさであったり。オーナーとシレーネの関係いいなあと思います。別にオーナーの気持ちが直截に語られるわけではないけれど、接し方から十分心情が見える気がします。お腹いっぱいです。 ロマンの部分はやはり舞台設定であったりシレーネの設定から。いや、もうこの設定の段階でそりゃもえますよ。あと、髪、ですよね。 事程左様に感嘆しながら拝読しました。

5.0

辰井圭斗