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作・灰崎千尋

ひとつだけの本

黒猫のシピとくらす、代書屋のおじいさん。 おじいさんはある日、「自分のためには文字を書かないの?」と問われますが……

続き
詩・童話・絵本 童話 私と読者と仲間たち おじいさん KAC20216

それが夢物語であっても

代書屋としてひたすら人のために文章を書いていたおじいさんが、猫のすすめに従って初めて自分の人生を綴り、自らの心を拾い上げるというすごくきれいな話を童話風に書いた物語。”すごくきれいな話を童話風に書いた”というところがミソで、これを現代ドラマで書いていたら多分読み味が全然違ってしまっていたと思うのです。私などは心清らかでないので「自分の人生を書く人間なんかごまんといるのだから、話はそこからですよ」なんて余計な茶々を同じストーリーラインでも現代ドラマだったら入れてしまいたくなります。でも童話だから割とすんなり読めてしまう。 カクヨムが出してきた「私と読者と仲間たち」なんて趣味がよいとは言えないテーマを、「リアル」からほどよく距離を取ることによって書いてみせた品のいい作品です。 黒猫のシピも役割としては似ているように思えます。もし、シピが人間だったら、自分の生き方に満足している人間にわざわざ自分のための文章を書かせるというある種のお節介さが気になりかねないのですが、猫なので。 正直創作がきれいごとばかりでは済まないというのは百も承知で書かれていると思います。でも、こういう場面はあり得るし、その物語だってあっていい。厭味なく、一つのきれいな方向に専念された物語として拝読しました。

辰井圭斗さん

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文字数:3,997文字

連載開始:2021年03月20日

最終更新日:2021年11月01日

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