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@オノログ
作:ひとしお
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最終更新:2020/1/21
死なない茜と気まぐれな紀栄子の夜は短い。
三百余年の月日を生きてきた不老不死の少女と、彼女と共に暮らす大人の女性の物語。 あるいは、そのふたりがごはんを作る(食べる)お話。そしてその後の、お散歩のお話。 茜と紀栄子、それぞれの抱える苦悩のようなものが、徹底して〝直接書かれない〟ところが好きです。最低限の、それも曖昧な供述だけ。具体的にはわからないはずのそれが、でもなんとなく感じ取れてしまう。ふたりの結びつきとして見えてくる。 生きてきた年月も、日々の生活も、性格も、背丈も。重なるところのないふたりの、でも互いに互いを補い合うような関係性。それを端的な言葉にはっきり翻訳してしまうことなく、でもしっかり読み取らせてくれるところが好きです。 寂しく、どこか閉塞的な夜の闇。そんな光景を想起させるのに、でもふたりの間だけが少し暖かい。暗闇の中の小さな灯火のような、優しい雰囲気の物語でした。
和田島イサキ
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