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@オノログ
作:ぶいさん
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最終更新:2020/1/25
動かないのがつまらないからケースを指で弾く。飼育ケースの中の生き物は驚いたのか見える所に登ってきた。それから各々元の場所へ戻っていった。
飼っていたカブトムシを死なせてしまった男の人のお話。 あからさまに不穏なタイトルと、そしてどこかドライな日常の描写。その期待のさせ方というか暗示のさじ加減というか、この静かな盛り上げ方が印象的でした。 序盤から中盤、別にまだ何も起こってないはずなのに、なぜか水面下に恐ろしいことが迫ってきているような。 若干ネタバレ気味になるかもしれませんが、終盤手前くらいのミスリードが好きです。主人公の『疾しい思考』。あるいは、そこに持っていくまでの流れ。どこか乾いた手触りのある主人公の主観が、でも少しずつ生っぽい湿度を帯びてくる、その誘導が自然でまんまと乗せられました。 疑い始めると何もかもが伏線に見えてくる、そんな疑心暗鬼を煽られるのが楽しい作品でした。
和田島イサキ
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