金輪王と赤毛の竜
最終更新:2020/1/26
作品紹介
かつてその山には、燃えるような赤い瞳と、赤いたてがみを持つ竜が棲んでいた。 その息吹は森を灼きつくし、その爪は巨人の岩の肌を切り裂き、そのあぎとは角と翼もつ悪魔をも食らう。 その竜のもとに、ある夜、すすり泣く幼い死者の魂がさ迷い、たどりついた。 神にも迫る力を誇る竜は、何をも物ともせず、誰にも屈することはない。 しかし、赤い竜は、自らよりはるかに弱い存在を守るすべを、はかなく散りゆく命をつなぎとめるすべを、何も知らなかった。
最終更新:2020/1/26
かつてその山には、燃えるような赤い瞳と、赤いたてがみを持つ竜が棲んでいた。 その息吹は森を灼きつくし、その爪は巨人の岩の肌を切り裂き、そのあぎとは角と翼もつ悪魔をも食らう。 その竜のもとに、ある夜、すすり泣く幼い死者の魂がさ迷い、たどりついた。 神にも迫る力を誇る竜は、何をも物ともせず、誰にも屈することはない。 しかし、赤い竜は、自らよりはるかに弱い存在を守るすべを、はかなく散りゆく命をつなぎとめるすべを、何も知らなかった。