妖怪の村の小さな学校 《アジェンナ国物語~少年少女編》
最終更新:2023/5/21
作品紹介
女教師と天才詩人少年の純愛! そして個性的豊かな12人の少年少女の成長の物語。 カサン帝国の若き女教師オモ・ヒサリはカサンの植民地アジェンナ国の片田舎スンバ村に赴任する。彼女が教えるのは妖怪に関わる仕事をするため「穢れた妖人」と人々から蔑まれる子ども達だった。 しかしヒサリが出会った子らはみな意欲あふれる可能性に満ちていた。 向上心に溢れるダビ、人体の仕組みに興味を持つ探求心の強いトンニ、正義感の強いラドゥ、口が悪く反抗的だが根は優しいナティ……。 とりわけ彼女の心をとらえたのは、醜い皮膚病をわずらった物乞いの少年マルだった。無邪気に自分に向かって手を伸ばした幼い彼の思いに応えよう、とヒサリは決意する。 ある日、ダムの決壊による洪水が村を襲い、マルは家族を失ってしまう。ヒサリはそんな彼を身近に置いて、勉強と生活の両方の面倒を見るようになる。 やがてヒサリは、マルに驚く程の言葉の才能がある事を発見する。「妖怪の言葉を聞く」力に恵まれたマルは、「妖怪の話す物語」を次々と覚えたカサン語で紙に書き、ヒサリに教えてヒサリを驚嘆させる。 ヒサリはマルや他の生徒達を「立派なカサン帝国臣民」に教育するため情熱を注ぐ。そしてその過程で、ヒサリは妖怪と日々交わる子ども達の持つとてつもない能力を目の当たりにするのだった。