ネオンサインの消えるころ
最終更新:2020/10/5
作品紹介
新宿にある雑多な路地裏で、彼女は身を隠すように座り込んでいた。 それは、私がまだ売れないフリーのライターをしていた頃のことだ。流れ者の私が書かせてもらえるのは、風俗とギャンブルとラーメンの特集だけ。自分の書きたい言葉が泡のように消え、遠ざかっていくのを感じながらも、それに抗う気力さえ尽きかけていたあの夜。人生の折り返し地点にあった私と、何の責任も負えない未成年の彼女は出会った。 この東京という小さな街の片隅で。 ※作中では言及していませんが、1989年を想定しています