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@オノログ
作:アリクイ
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最終更新:2020/7/5
第二回こむら川小説大賞参加作品です
ホテル最上階の高級レストランで、激しい口論をする若い男女のお話。 ぱっと見はただのカップルの痴話喧嘩、ちょっとした日常のワンシーン……かと思いきや、といった筋書きの作品です。およそ3,000文字というコンパクトな尺の中、シンプルながらも綺麗にまとまったストーリーラインが魅力的でした。 インパクトの強い会話の場面から入って、中盤で詳細な事情を明かしつつ不穏な空気を匂わせ、最後に急転直下のひねりを加えて落とす。流れが綺麗で、くっきりと浮き立つようなわかりやすさがあって、真っ直ぐ滑らかに読み通せたお話でした。 若干ネタバレ気味の感想になってしまうのですが、結び付近の展開の味わいというか、この辺りに含まれた豊富な想像の余地がとても好きです。落涙、という、これ以上ないくらいにはっきりとした情緒の証。はたして彼の抱えた欠陥は、本当に欠陥と呼べるほどのものなのか? なまじ本物の怪物であるがゆえに見ることのできない、自分自身の本当の姿。決して満たされることのないであろうその飢えに、どうしようもなく心が揺さぶられてしまいました。
和田島イサキ
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