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作:@Pz5

大正永劫怪奇譚

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未評価

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最終更新:2020/7/25

作品紹介

時は大正、浪漫と頽廃の混じり合う時代。成金と揶揄されるも厭わず、近代人精神を顕す資本家の二代目、織部は、高等女学校を出た子爵令嬢の黒羽清子との婚礼を迎え、輝かしい未来を確信していた。しかし、或る時より友人知人が次々と姿を消すも、誰もその人達の事を憶えてさえ居ない事態に陥る。そんな中、清子に待望の第一子が宿るが、中々出て来ず、精神的に追い詰められて行く。その解決策を当たる中で、女中のお絹より黒羽家の過去のありかを告げられて……夢か現か混じり合う奇譚。

ミステリー

評価・レビュー

がっぷり四つストロングスタイルの大正浪漫

 大正期の日本を舞台に、資本家の男性が不可解な事件に巻き込まれていくお話。  大正浪漫、いや『浪漫』という華やかな感じではないので実質ただの大正というか、とにかくおどろおどろしい話でした。ホラー、あるいは怪談のような伝奇のような。タイトル、キャッチ、紹介文の時点ですでに雰囲気バリバリ、本文に入ってさらに倍という、この徹底っぷりが印象的でした。  いつまでたってもお嫁さんのお腹の中から出てこない赤ん坊と、ひとりひとり存在ごと消滅していく友人たち。その謎を解明するというか、この邪悪でおぞましい何者かの根源に迫るため、猟奇的な曰くのある離れ小島へと向かう、というお話の筋。  ひたすら不気味な出来事ばかりが起こる中で、とどめとばかりに雪崩れ込んだ第三話の展開が特に好きです。あの孤島の、次々目の前に広がる悪夢のような光景。その描写が非常に鮮烈で印象深く、たとえ夢でも行きたくないなと心底思いました。  夢と現実の混じり合う世界で、おぞましくも圧倒的な怪異に翻弄されるようなこの感覚。古い時代に特有の不気味さというか、独特の雰囲気にとっぷり浸らせてくれる作品でした。

5.0

和田島イサキ