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作:葛城天智

絵画の記憶

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未評価

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最終更新:2024/4/4

作品紹介

とある売れ筋の画家の作風が変わった。 もう五十を過ぎた画家は作風が変わったのは歳のせいだろうと噂されていた。 そんな噂は彼の耳に届くことはない。 彼は今日もひとり、キャンバスと向き合う。

日常ほのぼの男主人公シリアス和風純文学

評価・レビュー

いつか消えゆく私たちの――。

〈その男はついに妻のことを忘れた。〉  そんな冒頭の一文にはドライさがあり、どきり、とする。思えば記憶というのは不思議なものだ。絶対に忘れないと頑なに信じた記憶は意外にも簡単に消えてしまうし、あるいはどうでもいい、と片隅に追いやっていた記憶がふいによみがえることもある。記憶という概念は恐ろしく曖昧だが、多くのひとにとって何よりも大切なものになっている。だからこそ〈記憶〉というテーマが扱われた物語は、多くのひとの心を惹き付けるのかもしれない。  ……ということで、本作も同様に、記憶を失いつつある画家の男を描いた掌編です。これだけ短いと内容に踏み込まずに感想を書くのが難しいので、ネタバレフィルタを付けましたが、味わいのある文章の読み心地の良さだけでなく、構成のうまさが印象的な作品でもあるので、ぜひ作品のほうを先に読んでもらえたら嬉しいです。  いいですか?  この作品には、〈絵画〉と〈手紙〉が重要な要素として登場します。〈手紙〉は本心を自らの口からは明かさなかった男の本心を知る手がかりとして、〈絵画〉はかつてそうではなかったけれど、彼にとってはある時期からもうひとつの意味を持ちだすようになります。  心も記憶も失われていくのは怖い。それでもそこに確かなものを残すために、何かを残していく。男はその記録として、自身の職業として描いてきた〈絵画〉を選ぶ。  読み終えた時、 〈あれは春のことでした。画家が集まるパーティに参加した次の日から、夫は今までの抽象画とは全く別のものを描くようになりました。それは風景であったり、人物であったり、まるで日常を切り取ったような絵を描き始めたのです。〉  という道を選んだ男の気持ちを想像しながら、苦くも、切なく、静謐な余韻が残りました。

5.0

サトウ・レン

真実を知った時、溢れるのは愛と想いと涙

1 読む前の印象や予想など(表紙やあらすじなどから想像したこと) まず表紙のイラストが芸術的である。今にも動き出しそうにも見え、躍動感もある。この表紙がイメージというのはビフォーアフターどちらなのだろうか?   とても気になる部分でもある。 作風とは、絵画や小説などにとって、心臓とも言えるものなのではないだろうか? 小説などでは作風はその作家の癖と深い関係も持つ。web小説などでは、ページの区切り方、表現、体言止めや述語。空行の使い方。いろんな部分から作風が決まり、なかなか変えられないものでもある。 絵画やイラストなどでは、タッチや色選び、構成などが作風の決め手だろうか? 2 物語は(どのように始まっていくのか?) 主人公の物忘れについてから始まっていく。彼の作風が何故変わったのか? その理由が分かると切なくて、辛いなと感じる。 3 良かったところ。印象に残ったところ。好きなセリフなど。 ”少し首を竦めておどけて言うそれは”のくだりが好きである。日本語にはいろんな言い方がある。ストレートに言うことは、伝わりやすいが含ませで言うことには、洒落が効いているように感じる。ストレートよりも印象にも残りやすい。 画家からの手紙の部分以降はとても感動しました。 想いは言葉にしないとなかなか伝わらない。しかし本心を知った時、胸に来るものがある。二人の結婚の経緯についても素敵だなと感じた。 まだ自分は記憶力は良い方だが、忘れることの怖さというものが、疑似体験できる。忘れられてしまうというのも辛いが、忘れたくないことを自分の意志関係なく忘れてしまうというのは、悲しい。そしてその未来が来ると分かっていたなら、とても怖いと感じるだろう。 4 自分が主人公の立場だったら やはり、主人公と同じことをするかもしれない。 以前人が何かを残そうとするのは、生きた証を残すため。というのを見たことがある。例えば自撮りや日記がそうだろう。それは自分の死に対しての本能なのだと感じる。 人が何を残したいかは、人それぞれ。 自分なのか、思い出なのか? それとも他人なのか。 彼が本当に残したかったのは心なのかもしれない。 5 物語のその先を想像して 恐らく天国で幸せに暮らすのだと思う。そして、その絵画を手にした人は愛を感じることができたのではないかと想像する。

5.0

crazy's7