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作:木立 花音㊗大賞受賞

咲夜。人の寿命が見える私と、来年までに死ぬ彼の話。

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最終更新:2021/1/26

作品紹介

 加護咲夜(かごさくや)、高校一年生。  彼女には、不思議な能力があった。それは、他人の寿命が〝年数〟で見えること。彼女には大きな未練があった。それは、寿命一年である事を知りつつ見過ごしたことで、とある女性を救えなかったことだ。  咲夜は高校の入学式の朝、屋上から空を見上げる男子生徒の姿を見かける。なんとなく視界の隅に入った彼、今泉京(いまいずみきょう)の寿命は──〝一年〟だった。  先輩が来年までに死んでしまう運命を変えられた時、私が背負った罪の十字架も下りるのかな?  次々現れる寿命一年の人物を救いながら辿り着いた世界で、ついに咲夜は彼の死の間際に直面する。 「先輩──!」  伸ばしたその手は届くのか──。  偽善か──それとも贖罪か。死神の目の使い方。 ※アルファポリス主催、第三回ライト文芸大賞奨励賞受賞作品。 ※HJ小説大賞2020後期最終選考作品。 ※表紙用のイラストは、『SKIMA』を利用してmu様に、タイトルロゴは草食動物様に作って頂きました。 ※Part1の挿絵として、騰成様から頂いたファンアート。Part51の挿絵として、イトノコ様のフリーイラストを使わせて頂きました。

R15青春スクールラブミステリー純文学部活動

評価・レビュー

これは寿命が見える少女の青春と、登場人物たちの人生の一片。

主人公・|加護咲夜《かごさくや》は、特殊な能力を持っている点を除けば、ごく普通の女の子です。 部活内での人間関係に悩んだり、恋をしたり。親友と楽しい時間を過ごしたりと、女子高生らしい等身大の生活を送っています。 しかし彼女の目には、人の「寿命」が見える。 この能力のせいで、咲夜は人の死を極端に恐れていました。 屋上に立つ男子生徒、その頭上に「一」という数字を見て、追い掛けてしまうほどに。 第一話の冒頭から、生死というものが濃密に描かれる本作。 序盤の咲夜は他人の寿命が見えるという能力を持て余し、そしてトラウマを抱いていました。彼女は「自分のせいで救えなかった」という思いから、勇気を出して見ず知らずの男子生徒・|今泉京《いまいずみきょう》の後を追いかけ、彼と対面を果たします。 残りの数字を見て嫌な想像を抱いていた咲夜ですが、後にそれが勘違いだったと分かり、その場で別れる二人。 これが高校の入学式の日に起きた出来事というと、ちょっとラブコメ感がありますよね。 新入生の女の子と、一学年上の男子生徒。いかにも青春の一ページといったシチュエーションです。 あとあと彼が所属する文芸部の一員になる咲夜。 三年生で部長の佐藤太郎、二年生の|生天目未来《なばためみき》、同じく二年の今泉京、咲夜の親友・|夢乃明日香《ゆめのあすか》。このメンバーと過ごす部活動の時間が、学園生活の大半として描かれてきます。 作中で新入部員として拙くも小説を書き始め、最後には全員でリレー小説を完成させる……まさに理想の青春ですよね。ちなみに最後の方では、どんな内容なのか読む事が出来ます。 全てを知った上で目を通すと、かなりグッとくるものがありますよ。 ただ上記は、あくまで部分的なものに過ぎません。 本作で描かれる彼女たちの青春は、咲夜の能力を通して展開していきます。 屋上の件から少し積極的になり、今までずっと重荷として背負ってきた力を他者のために使うようになる咲夜。その味方となってくれるのが、親友である明日香と、親しくなっていく中で能力の事を知った京です。 寿命が「一」になった人間を救おうと奔走する三人。 一人助ければもう一人と、彼女たちの元には次々に事件が舞い込みます。 トラブルを解決していく中で生まれる、人間関係のいざこざ。 重く感じがちな部分ですが、人物たちの発言・態度から感じる不穏さが気になり、読む手を止まらなくさせます。 寿命が見える能力の謎。 京の寿命が依然として「一」のままの理由。 そして、咲夜自身の抱えるトラウマ。 すべての線が繋がる時、この作品の虜になっている事でしょう。 主人公に限らず、色んな登場人物たちの〝人生〟が垣間見える本作、ぜひ読んでみて下さい。

5.0

白胡麻