君の愛は、美しかった
最終更新:2022/1/31
作品紹介
ユリアンは困っていた。 人好きのする容姿に加えて伯爵家嫡男にして財務省職員というエリートの彼は、年頃の女性たちからは垂涎の的。陰では『元本保証』とまで呼ばれ、つきまとい行為すら受けているほどだ。 母にしつこく「お相手を見つけなさい」と言われるも、仕事が軌道に乗り始めた矢先。女性への不信感も相まって気が進まない。 だが仕方なく参加した夜会で最後に踊った黒髪で灰色の瞳の令嬢は、目立たぬ色ながらも、どこか他の女性と違い輝いて見えた。 別の夜会にて再会した時、 「あなたに会いに来ましたの。 わたしの王子様」 そう言って微笑む彼女の手を、再びユリアンは取ったのだった。 どこか夢見がちでふわふわとした印象を受ける彼女は、子爵家の長女オティーリエ。騎士に嫁ぐため教育された女性だった。 2人は文通を始め、その静かな交流を通して彼女がとても思慮深く賢い女性であると知り、ユリアンは次第に彼女に惹かれて行く。
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