かき集めた青
最終更新:2021/12/17
作品紹介
二年前の夏、彼女はマイクを置いた。 誰も疑問を持たなかったし、覚えてもいなかった。わたしだってそうだった。 けれども今、目の前で歌をうたっている彼女は。 あの頃の面影はどこにもなく、今にも消えてしまいそうに、儚く笑っている。 ――たったひとつだけ。あの頃と同じ、世界でいちばん美しい旋律をのせて。 だからわたしは、ただひたすらに言葉を落とす。 わたしが、わたしだけが、あなたを決して忘れないように。 20XX年、東京の片隅。 「超感覚」と呼ばれる能力に翻弄される若者たちがいた。
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