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作:藍上央理

キメラの島

星3つ

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未評価

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最終更新:2017/2/7

作品紹介

BOOTHにて「キメラの島」同人誌頒布。 両性具有のオムホロスは自らの身体を作り上げている片割れを探し、師匠である魔術師との戦いに挑むことになる。敗北か勝利か。……敗北は死。 オムホロスは、モロ神に囚われたゴドウの魂を救い、魔術師から仕掛けられた罠を解くために、ケセオデールに近づく。 一方、北の国ケラファーンの王女、ケセオデールは自分の性への違和感に悩み、また、女に欲情することに苦しんでいた。城の侍女と情事を重ね自分から奪われたのは男性の象徴、ファルスだと悟る。王女はファルスの在り処を求めてケラファーンを出る。 そのふたりが、出会うことになり……そして、王女は自分の敵を知る。 ファルスを取り戻し、復讐を果たすためにキメラの島を目指して。 オムホロス・・・ホムンクルス。錬金術師であり魔術師でもある師から作られた存在。両性具有。 ゴドウ・・・キメラ。半人半獣。下半身が巨大な黒い羊。上半身は美しい男性の姿をしている。 ケセオデール(ルー)・・・ケラファーンの王女。自分の性に違和感を持っている。後に狼の毛皮を着た青年に。 第一章ネクアグア 第二章ケラファーン 第三章ツァカタン 第四章シルフィン 14万字ほどあります。一話約2000字。1/26変更。読んでる方すみません。

ファンタジー異世界復讐ハイファンタジー成長物語TS(性転換)両性具有キメラジェンダー半人半獣

評価・レビュー

大人へ変化する時の心の震えをとらえた見事なハイファンタジー

大人向けハイファンタジーとして緻密かつミステリアスに作られ、且つ年頃の少年(少女)が大人へと変化していく時の心の震えを、そのファンタジーの中で見事にとらえた作品でした。 大人へと変わっていく自身の体の変化や、自分が何者なのかという疑問を模索しようとし始める心。 そういったものが淡々とした語りの中で鮮明に輝いています。 また、ファンタジー設定そのものが、そういった変化と密接に関わるように作られていてたいへん面白いです。 「自分の正体」が物語の謎そのものでもあるため、オムホロスとルー(ケセオデール)がそれぞれの戦いや旅を通して答えに近づいていく様にはぞくぞくとするものがあり、読めば読むほど目が離せなくなっていきます。 ゴドウとの間に生まれた愛情と同情によるやりきれない関係。 自身が何者であるかという疑問がそのまま大きな謎に繋がっていく様。 同類である師と殺しあわなくてはならないという恐ろしい宿命。 様々なものがたいへんな迫力と魅力を持っています。 また、節々に見られる心の変化や気づきの繊細さにもとても感銘を受けました。 特に、疎ましく思っていた夫の包容力にルーが初めて気がつくところだとか、自らが愛おしい女性と対峙したことで自分を愛おしんだ男たちの心を悟るところだとか、そういった部分はとても心に残ります。 旅の途中で出会う人々も、それぞれにきちんと背景があることが感じられました。 そのおかげで、作品世界がとても豊かになっています。 メインキャラクターだけの物語ではなく、彼らは世界の一部であり、作品世界はもっと大きいのだと感じることができるのです。 描写や文章も素晴らしいです。 五感に訴えかける文章のために、映像や雰囲気が見事に立ち上がってきました。 とても優れていて、面白く、心に刺さるものもあるファンタジー作品で、読めて良かったと心から感じました。

5.0

ぞーいー

単純な言葉では表現できない生々しく鮮烈で激しい息遣いと陶酔

「ホムンクルスやキメラという言葉にどういったイメージを抱いているか」によって、この作品への入り方、感情移入の度合いが相当変わってくるのかもしれません。 実は私、第一章を読むのに時間がかかりました。 錬金術や神話についてのイメージはもちろんのこと、生物学的な知識(特にホモ・ヘテロなどの性染色体の知識)、と興味(特に子の性別の決定には精子側が関わってくる、という話など)が問われるのかもしれません。 しかし、そういった背景にファンタジー小説として展開されるのは、さらに想像力を掻き立てるストーリー。 「完全ではないもの」である主人公が「完全になるため」の試練を乗り越えるための地図の上での旅行、駆け引き、完全なるものに近づくにつれ、生まれる欲望。 そして「完全ではないもの」を生み出したものの正体、その意図。 男の私のイメージがこの作品のメッセージの全てを理解できているかどうか自信はありませんが、作品の背景に垣間見える「女性の思い描く情愛や愛憎」とはこれほどまでに強烈なものなのか、と恐れながら読ませていただきました。 「読者を選ぶ」ようなことを書きましたが、しかしそれでも多くの方にこの「単純な言葉では表現できない生々しく鮮烈で激しい息遣い」を味わってほしい、そう思うのです。

4.0

叶良辰