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作:ときの

世話焼きは逃げ回る猫の名を呼ぶ

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最終更新:2023/5/2

作品紹介

 東岳情報専門学校の講師・東風 貴哉(こち たかや)は、少しばかり世話好きなだけの一般人だ。  彼からどことなく漂う犬っぽさと苗字から、学生たちに付けられたあだ名は「ぽち」。老猫の空(くー)と気ままな一人暮らしをしている。  11月の冷たい雨が降る夜、コンビニに猫缶を買いに出掛けたポチは、その帰り道の公園で“彼”と再会した。  傘も差さず雨に打たれて一人立ち尽くしていた彼は、3年前に東専から巣立った卒業生・多麻 永(たま はるか)。  震える彼を家に連れ帰ったポチは、細かい事情は聞かずにタマを家に住まわせると決めた。    タマは特殊な能力を持っている。  音声の異常な認識能力。それは、百メートルほどの範囲より届く雑音の中から、多くの人が話す言葉をすべて聴き分けることができる。  多少耳がいい程度と周辺の親しい人物にのみ伝えられた、タマの真の能力を知るものは誰一人としていない。  本人はしっかりしているつもりなのに、どこかにふらふら行ってしまいそうに見えるタマ。  彼に向ける自分の感情の正体を理解できずに悩みながら、ポチは今日も、逃げ回る猫のようなタマを追ってその名を呼ぶ。  名を呼べば、タマにはちゃんと聞こえている。  降りかかる災難を乗り越え、彼らは自身の気持ちに気付くことができるのか。 *** 表紙絵:カマネコ ※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。

日常ほのぼのシリアス現代日本BOYSFANコン

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