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作:夏木 蒼

星集めの絵

星4つ

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星2つ

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星1つ

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未評価

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最終更新:2021/12/3

作品紹介

1人1つ、魔法の使える世界。でも、俺の魔法は役立たず。 クリスマスに彩られた街で俺が出会ったのは、『星集めの絵』を描く画家だという女の子。 『星集めの絵』、それは水面に映る星を掬い上げて絵を描く魔法。 彼女は俺に、俺の魔法で絵を描くのを手伝って欲しいと言うが…… しのき美緒様(https://estar.jp/users/129588319)主催の、アドベントカレンダー2021参加作品です! アドベントカレンダー2021の作品集はこちら。 https://estar.jp/novels/25879925 妄コン「走り出す」で大賞受賞いたしました。 以下、選評です。 他人と感覚を共有するという、いまいち使いづらい魔法を使う青年が、視力を失いつつある画家の少女と出会うとき、素敵な奇跡が起こる――。タイトルが示すように、星を集めるようなキラキラと美しい青春物語です。無力感に苛まれる主人公が、彼女のために走り出す中盤からの怒涛の展開に心が揺さぶられました。

ファンタジークリスマス

評価・レビュー

ケンタウルス、露をふらせ

 夜空、星空といえば、とにかく私は宮沢賢治の作品に描かれる黒か濃紺のイメージを持っているのだけれど、「星集めの絵」がそういう背景だと描写されていて妙に納得してしまった。  だが同じ心象映像を想起させるのに、宮沢賢治と夏木さんでは作品から受けるイメージが大きく違う。前者はいつまで経っても夜のままでひんやりとした世界であり、夏木さんの作品はラストで陽の光の眩しさ、温かさの中へと場面転換していくからだ。  たしかに「星集めの絵」では人の死、という究極的に暗いテーマは取り上げられていない。だが主人公が役立たずな魔法しか持っていないことや、その能力ゆえに両親を苦しめてしまったトラウマ、ステラが間もなく失明するであろうことなど、十分に暗くて重いテーマを内包している。  宮澤賢治の作品の多く、たとえば「銀河鉄道の夜」は確かにハッピーエンドではないものの、救済がないとは言い切れないだろう。「よだかの星」や「雁の童子」は同様に夜空を想起させる作品であり死が結末だが、そこが終わりではなく、死んだ後にこそ救済がある……と読み取ることもできる。  では何がそんなに違うのか? といえば、パートナーの存在ではないか、と私は思う。  どちらも孤独だった主人公とステラ、使い途のない魔力の持ち主と、生まれ持った素晴らしい魔法の力を間も無く使えなくなってしまう女性とが出会う。それは雇用主とアルバイトの関係から始まり、主人公の願いが「ステラの願いを叶えたい」という方向へ傾くことをきっかけに同じ一つの願いとなり、互いが互いを救済し合う関係になっていく。主人公は視力を共有させること、ステラは彼の能力にも使い途があると可能性を提示することで。  世の中には慈善を為すこと、恵み与えることが至高の徳で、それを幸せと感じる尊い心の持ち主もいるだろう。だが主人公たちの見つけた幸せは与えることよりも、相手に求めること、ではなかっただろうか。  お互いが相手に求めれば、お互いが相手に「求められている」ことになる。求められもせずに与えるよりも、求められて与えることの方がより幸せである、そう感じるのは私だけではないと思うのだ。  アルバート青年が、彼女の求めに懸命に応えようとしたように。  この作品は、場面ごとの明るさや天候が効果的に演出されている。未読の方はぜひ、読んでいただきたい。 はやくもよいち

5.0

はやくもよいち

ただひとりの大切な人のために神が与えた能力

星集めの画家、もう名前だけでロマンティックである。 その画家であるステラと、需要のない魔法しか使えないアルバートの素敵な恋の物語。 とにかく色彩や景色が美しい。星は紫紺の空にチカチカと無数に輝き、ステラとアルバートの瞳の色はひとつに混ざり合う。そして最初と最後に出てくるクリスマスの町の華やかさ。 ここで何語も費やして説明するより本文を読んでほしい。 アルバートの悩みは魔法に需要がないこと。しかしステラと出会って能力が開花する。きっとアルバートの魔法はステラのために用意された特別な力なんだ、と思った。 誰でも、大切な誰かのためになら力を発揮できるし、それが予想以上の結果に結びつくのに違いない。 ところで、今までうまく使えないものが相手を得て使えるようになる、というのはとても示唆に富む。 例えば会社で、上司が変わったとたんに生き生きと仕事ができるようになったり……。 能力を発揮できる人との出会いは人生でとても重要だ。 そんなことを読み終えて漠然と思った。 あまりロマンティックではないのは、わたしがトシをとったせいだ。きっとそうだ。 素敵な物語をありがとうございました。

5.0

しのき美緒@BEKKO BOOKS