大日本帝国 -綴錦-

　万延元年、1860年の日本。まだ江戸と呼ばれる時代区分にあり、動乱の最中にあるその国で数え年14歳（実質13歳）の壱心は急に意識を覚醒した。 　自らが何者であるのか、香月壱心としての意識がはっきりとしていながら、こちらも自分であるという別人格を有している彼は混乱しながらも幕末の奔流に身を投じる。 　そんな別人格が持つ未来の記憶を持つ彼は自らの立場を利用して幕末の筑前藩、福岡にて自らの力を振るい、幕末に起こる乙丑の獄と呼ばれる自分たちの死の未来を変えるべく行動を開始した。本人が脳内で「鍛えた軍人程度」と言い張る埒外な力と一般教養と言う名の少々逸脱した未来の知識を基に彼は薩長土肥の中に福を呼び込み、本来死ぬはずだった人間を救って歴史に躊躇なく介入し、捻じ曲げていく。 　荒ぶる歴史の中で国を本来の歴史から変えるために方々へと働きかけ続け、多様な名で呼ばれることになる彼の一生をここに。