スーパーカブ　大学編

　父を失い、母に逃げられた少女、小熊　 　十六歳の時に買ったスーパーカブと共に高校生活を過ごし、奨学金で都内の大学への進学を決めた小熊は、東京都下での生活が落ち着いた頃に、スーパーカブを事故で大破させるという災難に見舞われる。 　そんな小熊の暮らす部屋に現れたのは、小熊が高校に入って間もなく失踪した母親と、その内縁夫の子だという十五歳の男子。 　海外に居る内縁の夫を追いかけるため、再び姿を消した小熊の母は、内縁夫の子、藜（れい）という名の少年を小熊の部屋に置き去りにしていった。 　小熊は意志薄弱で生きていく力を何も持たぬ少年、藜（れい）を、女子の手には余るスーパーカブの修復に利用することを思いつく。 　小熊と藜。奇妙な共同生活を始めた二人はスーパーカブを蘇らせるという難業に挑み始める。