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作:玉椿 沢

DEAD END,STRANGLE

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未評価

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最終更新:2023/9/17

作品紹介

 今ではない時代、ここではない日本で、社会の生産に何ら寄与しない異能力者たちは、考えている振り、悩んでいる振りしかしないがために、行き詰まる。行き止まり、雁字搦めで行き着く先は、精々、小銭を稼ぐために殺し合う舞台だった。  劣った能力しかない少年たちは、自らが絶対に守るときめたもののために自ら、あるいは悪意によって強制的に舞台に上がり、大火力、大規模な異能と戦う事になるが、常に少年たちには、不利は敗北に直結しない事を教える大人たちがいる。 序章「隣り合わせの死と苦痛」  舞台に上がる的場孝介と仁和の姉弟。二人は戦う。両親が遺してくれた生活を守るために。 「素人が、これしかない、と思って出した答えは抜け穴ですらない。既に先人が考え、不可能だと断じたものである」 第1章「君がなくした僕の夢」  的場孝介と仁和の姉弟を鍛える矢矯 淳。自身も劣った能力しか持たないが、必勝の手段にまで高めた男であるが、彼とて問題を抱えている。 「役者とヤクザは一字違い。自分の気分で出したり引っ込めたりするものは好意ではなく、誠実とはいえない」 第2章「払い戻した命」  かつてクラスの生け贄役として不満を全てぶつけられていた弦葉陽大。その、たった一度の反撃で起こった事故。その法で裁けない「罪」のため舞台へ…。 「この世に存在するものに必要なのは廃止ではなく、常に追加である。特に法律は1000万人に一人だとしても、この悲劇を訪れさせてはならないからこそ定められている」 第3章「出せない手紙と、効かない薬」  劇団の維持と矢矯の復讐を秘めたルゥウシェ。クラスの生け贄役にされている小学生・鳥打 基と交わった時、新たな物語となる。 「40人中39人が望み、39人には何も不満のない世界になるが、これを楽園と読んでいいはずがない」 第4章「斬ると決めた日」  失地回復を狙う世話人・小川は、北の地より新たな百識を呼び寄せた。 「守ると決めた者のために、自らを傷つける事に躊躇いのない者もいる。命とは必勝の手段に過ぎない」 第5章「君が唄う、悲しみのサーバント」  医療には《導》がない――そう伝えられている。医療の《導》を使う者は、他の百識によって徹底的に狩られたのだ。一部の例外を除き、存在しない。  医療の《導》を現代に引き継いでしまっている聡子は、その境遇から、あの少年を蘇られてしまう。 「人の言葉を善意で解釈できる事は、この世で最も好ましい長所の一つである」 第6章「仮面の下の涙を拭え 」  孝介が懐く劣等感。もらいものばかりで、自分で手に入れたものがない、と。 「気性はどうしようもなく行動を縛る。聖人君子であっても悪人であっても」 第7章「昏き剣、輝く勇気」  安土の管理できなかった舞台の代償は、大きく孝介を蝕む事となる…。 「言葉には行き違いがある。嘘も吐ける。唯一、嘘を吐けないのは行動であり、未来だけである」 第8章「鈍色の鬼神、月華の下で我らは死なず」  聡子と安土の関係。秘密を掴んだ小川は要求した。安土が世話人として関わる全ての百識全員を舞台に上げろ、と。 「ブスだから世の中が冷たいのかも知れないし、世の中が冷たいからブスになるのかも知れない。しかし、それを直視できる者は佳人である。佳人を救うのに躊躇いなどない」 第9章「隻眼の月・誰がために君は泣く」  北県に居を構える鬼家月派。その屋敷を今日、二人の少女が追われる。幼い頃の疾病により左目を失った会は、当主になれないからだ。会が従者である梓を連れて向かうのは南…人工島以外にない。 「他者に依存している想いは繋がらない。手段の目的化があるのだから。平和のため魔王の打倒を目指す勇者たちも、三代目ともなれば平和よりも魔王を倒す事が目的となる。魔王が死んだ後、その想いは消えてしまう」 第10章「炎の海で焼かれよ、彼奴が魂」  梓を舞台へと引きずり込んだ小川は、着々と進める。失点を冒した者たちの処断と、失点させていった者たちへの制裁の準備を。  そして梓と会の存在を押さえた小川は、とある百識の直接対決へと繋げる…。 「やりたい事、やれる事、やるべき事は大抵、食い違う。この内、2点が一致したならば、すべきではない事であっても人は動いてしまう」

ファンタジーカクヨムオンリーバトル超能力異能デスゲーム

評価・レビュー

◆雁字搦め。行き止まり。敗者相食む蟻地獄。

奪わんとする。 挫くを覚える。 負けを押し付け金を得る。 ここは場末の闘技場、 食い詰め者の吹き溜まり。 眼を逸らした果て、逃げた末。 望めば堕ちる。 望まれたなら堕とされる。 技を研げど、力で押せども、 勝てば恨まれ、負ければ餌食。 雁字搦めで行き詰まる。 敗者相食む蟻地獄。 『勝ち』なる価値はここにない。 ◆DEAD END,STRANGLE◆ 無駄と無意味の網の目に、 無為と無情が交差する。

5.0

中村尚裕

少年少女の成長と丁寧な戦闘描写だけが見所ではない秀逸作品

姉弟は両親との生きた証を残すため、死ぬまで終わらない殺し合いの場へと身を投じる。 2人を放っておけない損な性分の立会人は、彼らに1人の男を紹介する。 師匠であり、共に戦う仲間となる1人の男を。 物語の展開から考えると、少年少女の成長と、各章の最後に用意されている、丁寧な描写によって盛り上げられる戦闘が見どころと考えるのが妥当とは思うのよね~。 でもアチシは、この物語の最も注目すべき点は群像劇の如く描かれている、各登場人物の心理描写ではないかと思うのよ。 描写がかなり深めだから、若干テンポはゆったりめに感じるかもしれないけれど、豊かな描写力によって書かれる心理的葛藤は見事としか言いようがないの。 メインとも言える少年少女の成長と丁寧な戦闘シーンも含め、見所満載の秀逸作品よ。 こちらの作者様は長編を色々書いていらっしゃるけど、個人的にはこれが一番お薦めね♥

4.5

宇治津 千夜狐