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作:丹寧

【完結】朔の風

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未評価

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最終更新:2021/12/3

作品紹介

天象が読める風神の末裔・夕星は、ある日故郷と許婚を失う。 姿のない近衛・葉隠に助けられ、落ち延びた筑紫洲。 そこで大国を統べるのは、日の神の末裔の巫女・日向大王だった。 大王に仕えることを決め、故郷を守れなかった後悔を埋めるように、風読の力を発揮していく夕星。 一途に慕う許婚を喪った夕星は、新たに生きるよすがを見つけることができるのか。 決して姿を現さない葉隠との絆は、流転の孤独を埋めてくれるのか。 日本神話、邪馬台国九州説を下地とした和製ファンタジー。 葦原中つ国で、八百万の神々がどのように太陽の女神のもとに束ねられていったか、神話の世界をベースにオリジナルの物語を書いています。 第一部14万字、外伝9万字(1万数千字×6篇)。 第二部(15万字程度)と異伝(第一部の別エンド版、別立てにします)を構想中です。 土・日更新。 主人公年齢:16歳 朝読小説賞キャッチ:私を護る貴方は誰ーー天象を読む姫君と姿のない近衛の数奇な物語

ファンタジー和風ハイファンタジー歴史・時代和風ファンタジー日本神話邪馬台国大河ファンタジー

評価・レビュー

淡く儚く、時にドキッとさせられる濃さを内包した大河ファンタジー

日本神話、古代日本を舞台に、混ざり合う人間模様と美しい情景を見事に書き出したファンタジー。第一部は故郷を追われた姫君と、彼女を守る姿なき護衛を。第二部は孤独を恐れ、居場所を求める青年を主役に据えて、物語が進んでいきます。 第一部では、故郷を失いながらも屹然と立つ姫君・夕星と、彼女の護衛である姿なき寡黙な青年・葉隠が、新天地で国同士の争いに巻き込まれていきます。この二人の関係性とすれ違いが、とにかく切ない。兄の許婚だった夕星に惹かれながらも想いを秘する葉隠と、許婚を忘れないでいつつも葉隠に惹かれていく夕星。戦乱の中でも凛々しく、健気に咲く花のような二人の結末は、しかし夕星の儚く悲しい散り様にて幕を閉じてしまいます。 第二部では、夕星を喪った葉隠こと鷹彦と、拠り所だった家族を喪い、孤独を恐れる不器用な青年・騒速が主役。尊敬する鷹彦について行きながら、自分の居場所を求め、徐々に孤独を溶かしていく騒速の若々しさにニヤける反面、癒えようのない孤独を独り抱える鷹彦の淋しさに、胸を締め付けられます。暗い思惑も蠢く中、孤独を抱える者同士はどんな結末にたどり着くのか、必見です。 夕星、葉隠/鷹彦、騒速と三者の名前を挙げてきましたが、彼女たち以外の登場人物もとにかく魅力的です。男性にも女性にも、惚れてしまうようなカッコよさを持つキャラ(もちろん、たおやかだったり可愛らしかったりするキャラや、油断ならないキャラもいます)が多く、一人一人紹介すると長くなるので、控えなければならないのが残念なくらいです。 古代日本の風や匂いを感じる、美しい情景描写もさることながら、濃淡も色合いも様々に渦巻く心理描写も見所の、上質な大河ファンタジー。読んでいる最中は没頭状態、読了後は放心状態になりかねませんので、そこだけ気をつけてお読みください!

5.0

葉霜雁景

月に焦がれ、風を想う。数奇なさだめに抗う二人の古代浪漫・幻想譚。

 繊細な描写と緻密な調査が光る、古代日本を舞台とした歴史ファンタジー。邪馬台国という名は誰もが聞いたことあると思いますが、それが九州にあったという説をベースに、日本神話の神々の末裔である人物たちが描かれてゆきます。  風読の力を持つ夕星は、彼女の能力を欲した者たちの襲撃により故郷と許婚を奪われてしまいます。許婚の青年が彼女の護りにと託してくれたのは、姿のない近衛・葉隠。途中、海を越え、悪漢に襲われ、道なき道を進み、辿り着いたのは日向大王の統べる大きな国でした。  先見の力を持つ大王に迎え入れられた夕星は、そこに身を寄せることになりますが、やがて熊襲国との戦いに巻き込まれてゆくことに――。  日本神話と史実、九州地方の風土特色などが巧みに織り込まれており、邪馬台国と熊襲国(人によっては狗奴国という名称に馴染みがあるかも?)の戦いや、神々の末裔が持つ不思議な能力が、オリジナリティ豊かに編みあげられています。  軸になる夕星姫と葉隠の、多くの制約に縛られた関係性も、非常に胸を揺さぶるものとなっており、二人の想いの先を見届けたいと思わせられます。  風読の姫に科せられた呪いとは何か、葉隠の「姿がない」とはどういうことなのか。  ぜひとも本作を読んで、確かめてください。

5.0

眞城白歌

古代日本の美しさと切なさと

 最初から最後まで、遥かな古代の悠久を感じさせる繊細な描写にうっとりと惹き込まれます。古事記や日本書紀に見える、美しくも血なまぐさい歴史の渦に巻き込まれる夕星の行く末が気になり一気に読んでしまいました。  夕星本人や葉隠やその他の登場人物たちの夕星への揺れ動く想いがとても切ないけれど、きっとこの結末しかありえなかったのだろうな、と思わせるラストでした。  しばらくして始まった外伝、そして第二部は、さらにこの世界の深さと広がりを感じさせてくれる、素晴らしい物語でした。古代の歴史好きな方にはもちろん、いままであまり古代史に触れたことのない方にも、和製ファンタジーの傑作として、大変おすすめしたい一作です。

5.0

橘 紀里