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作・狼子 由

蝶を吐く

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【作品紹介】

【完結】その世界では、蝶を吐くことは最高のエンターテイメント。舞台に立つパフォーマの吐き出した蝶に、今夜も観客達は魅了される。街一番のパフォーマであるオリエをマネージャとして支えるジェラは、彼の吐き出す蝶の美しさに誰よりも憧れている。そんな彼らの前に現れたのは、女パフォーマのカマラだった。友情と憧憬、愛情と嫉妬。最後に残る感情は――。 ※こちらの作品は、犬井 作さん、室木 柴さん、やまめさんの主催する「蝶を吐く」企画に参加のため執筆した作品です。

青春・ヒューマンドラマ 蝶を吐く

投稿されたレビュー

蝶を吐く、という幻想的な画を通して描かれる、憧憬や嫉妬などの心の有り様

「蝶を吐く」という、それだけで妖艶かつ幻想的な画と、蝶吐師オリエの魅力。 それらが憧憬や嫉妬や虚勢といった心の有り様を芯として描かれる物語と、美しいハーモニーを織り成していました。   冒頭の蝶を吐くパフォーマンスから、読み手をぐっと引き込む美しい雰囲気が作られています。 薄く開いた口から蝶の翅の鮮やかな色が覗く様がとても艶めかしく、物語への期待が膨らみました。   オリエの人物造形もとても魅力的です。 才能のある人間特有の傲慢さと、だからこその愚直さ、そしてその裏にちらつく脆さが、序盤からありありと伝わってきました。 そういう彼に、一番近いところから憧れを抱く語り手の心に、読み手がはっきり寄り添えるくらいに、オリエが魅力的に描かれていたところが、また素晴らしいです。   その語り手であるジェラが、カマラという女性の登場で揺らぎ始め、そこから彼の心が少しずつ見えてくるところがポイントでしょうか。 胸にしまっていた気持ちから、自身さえ気づいていなかった本心までゆっくりと読み手を誘ってくれます。 そして、その過程がとても切ないです。   ですが、迷っていた、悩んでいたのが彼だけでないのが分かった瞬間が、私には最も切なく愛おしく感じられました。 オリエが独りよがりとも言えるような自身の思いをぶつける瞬間。 誰かの中で一番でありたいと思う彼らしい傲慢さと、けれどきっとその「誰か」は誰でもいいわけではなくて、彼の中で大切な人物にだけ抱く彼なりの愛情なのだと感じられました。 感情の種類は違っても、お互いに大切に思いあっている二人の、けれどこれ以上一緒にいられないという現実が、切なかったです。   それでもそういう悲しさだけで終わらなかったのも良かったです。 そのトリガーとなるものも、きちんと提示されていて、納得のいく変化でした。 後は、はじめは憎まれ役とも思われたアジャイが、強欲(というか商売人)ではあるけれど決して悪人ではなく、それなりの器の大きさを持ち合わせた人物だと感じられたのも嬉しかったです。

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