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作:垂氷さくべえ

龍の愛し子たち

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未評価

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最終更新:2019/9/8

作品紹介

 青龍を守護神として祀る玉龍国。都から、さらに東に進み、木々の深い山を越えれば、そのふもとに、山影(やまかげ)という名の宿場の里がある。  桜はそこに住む十七歳の女の子。  心優しく、よく騙され、「甘い」と怒られている。  桜が働くうどん屋に、ある日、ガラの悪い男たちが現れる。  ――賭け事に負けたら、脱いで恥を晒せ。  そんな勝負をすることになった桜は……。

ファンタジー異世界和風竜・ドラゴン

評価・レビュー

キャラクターひとりひとりが生き生きとした、時代物風の優しいファンタジー

綺麗にまとまったお話であり、また、キャラクターの一人一人が生き生きとし、体温が感じられる素晴らしい作品でした。 特に、キャラクターはとても良くて、一人一人の心模様がしっかりと伝わってきました。 個人的なことですが、子どもの頃に観ていたアニメ『るろうに剣心』を大人になってから見る機会があり、このお話に登場する弥生くんが『るろうに剣心』の弥彦を彷彿とさせるキャラクターで、なんだ勝手に嬉しくなってしまいました…。 小さい体で、それに似つかわしくない虚勢を張って、必死に何かを守ろうとするところが、すごく弥彦な感じがして好きです。 登場する重要なキャラクター、鴉(雅)の境遇や、それゆえ男たちの卑しさになんとか溶け込もうとしてしまう気持ちの悲痛さも、よく伝わってきます。 それが卑しいことだとは分かっていながらも、そうするしかない、むしろ辛くとも自分でそうやって居場所を作ることを、強くなる、ということだと考えているのがよく分かりました。 主人公である桜に関しては、これだけ「良い人」であると、どうしても作品として嫌味な感じが出てしまうことが多いように思いますが、読んでいて全くそういう風には感じられませんでした。 彼女だけが正しく、優しい訳ではない、他の人物の言い分や感じ方にもしっかり寄り添える筆致だからだろうなと思います。 構成面も、とてもお上手です。 冒頭の守護神の龍のくだりも(タイトルにもなっているので当然かもしれませんが)終盤で、桜がなぜ人々に親切にせずにいられないのか、という重要な点でしっかり掬いあげられていましたし、冒頭の何気ない場面が終盤に繋がってくる、というのも良かったです。 ここはちょっと綺麗すぎる、というか、予定調和かなという気がしないでもないのですが、それでもやっぱりそうなってくれるよね、という安心感、王道としての良さがあったと思います。 賭けの流れも何となく読めてしまいましたが、これも、ほらやっぱり!というカタルシスがあり、むしろ気持ちよく読めました。 お話として、隙なく、よくまとまっています。 文章もたいへん読みやすく、長さは全く感じませんでした。 難しい言葉は使われていませんが、語彙も表現も豊富だし、リズムも良くて心地よく読めます。 キャラクターひとりひとりに温かさを感じる、優しく、けれど洞察にも優れた素晴らしい作品です。

5.0

ぞーいー