「ねえねえ、斗真くんも打ちあげ行こうよ~♡」 「ごめん、大事な用事(ゲームの限定イベ)あるから」 いま思うと、そんな何気ないやりとりがすべての始まりだった。 自分はただ、大して仲良くもないクラスメイトと焼肉に行くより、家にまっすぐ帰ってゲームしたかっただけなのだが、その類稀な美貌と愛嬌であらゆる男を籠絡してきた古谷来未にとっては陰キャの自分に断られるというのは想像以上に屈辱だったらしい。 その日から、ネット上で万年に一人の美少女と評された人気モデルでクラスの中心のハイスペック陽キャ女子の古谷来未は、休み時間に教室のすみでひとりゲームしているような陰キャ男子の自分――緑川斗真を惚れさせようと不毛な思わせぶりを開始するのだった。
更新:2020/4/19
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