私たち三人が訪れたのは、山奥に打ち捨てられた蔵でした。そこに蟠っていたのは異形の頭像たちと、闇の奥で渦を巻くものでした。その場は幸運にも逃げ延びる事ができましたけれど、それで終わりではありませんでした。それで終わってはくれませんでした。私たちはもうその時に、逃れようのない渦に巻き込まれてしまっていたのです。ですから一計を案じました。一人分の時間が、長くならないようにはからいました。そのシステムはぐるぐると、回り巡っていく事でしょう。ああ、でも本当は、本当は私は嫌なのです。私はああなりたくはないのです。あんなふうにぐるぐる回りたくなんてないのです。嫌です。嫌です。嫌です。誰か、助けてください。誰か──。アルファポリス第6回ホラー小説大賞、最終候補作。
更新:2013/3/31
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