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作:櫛名田慎吾

街外れの妓館で身請けをした赤毛の少女が、実は公太子の忘れ形見だったとしたら……

大陸を股に掛けて商売をするルアンは、ある日アデリーの色街で小柄な少女と出会った。 少女の名はサラ、赤みがかった髪の色で小柄な彼女は宗教的な理由で迫害を受けていたのだった。 しかしサラ本人も知らないことだったけれど、彼女は南方の公国、セレスティア公国の亡き公太子の忘れ形見だったのだ。 母の遺品である首飾りについていた銀の指輪の謎を中心に、サラとルアンの冒険の旅が始まる。 やがてたどり着いたセレスティア公国でふたりを待っていたのは宮廷の謀略と罠。サラの真実を知ったルアンは彼女を守っていけるのだろうか。 <第一章 妓館編>  交易商のルアンは妓館でサラに出会う。宗教上の理由で差別を受けているサラに同情し、自分では偽善かと思いながらもサラを身請けする。 <第二章 サラの首飾り編>  身請けしたサラと旅を始める前に、サラの母親の遺品である首飾りを質屋に取り返しに行くものの、それは既に怪しい業者に引き取られていた。その業者を追ってアデリーの街を探す二人の前に現れたのはマリクと名乗る男だった。 <第三章 辺境の村編>  サラの首飾りを取り戻し、南の方へと旅を始めたルアンとサラ。しかし田舎の方ではサラへの差別が酷く二人は襲われることに。サラへの侮辱に怒り心頭のルアンは剣の力で賊の襲撃を撃退するが……。 <第四章 国境の街編>  南の国境に近くなるとサラへの差別は薄れていった。国境の街で出会ったのは謎の老夫婦。夫妻の話からサラの首飾りの謎がすこしずつ解き明かされ、ふたりが行くべき国が見定められる。 幕間 <セレスティア公国>  アデリーの街で出会ったマリクが跪く先にはセレスティア公国の次期国公がいた。マリクの狙いと、サラが狙われている秘密とは何か。 <第五章 指輪と赤毛 >  ルアンが幼い頃から世話になっていたエルドリカ家に泊まった二人は、久しぶりに騒がしく楽しい夜を過ごした。指輪の謎が解けそうになり、セレスティアへの人脈も手に入れた二人であったが、同時にルアンにだけはある事情が明かされる。セレスティア公爵家に伝わる赤毛の系譜はサラへと結びつくのか。 ~以下執筆中~

更新:2022/4/29

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作:モトオ

花に惑いて虫を食い

 昭和三十年。  太平洋戦争における敗戦より十年、少しずつ復興のめどが立ってきた日本。しかし馴染めぬクズというのは何処にでもいるもので。  蓼虫(たでむし)と揶揄されるタチの悪い女衒、弥太郎(やたろう)。  戦後の時代、彼は非合法の花街で、せっせと人身売買に勤しむ毎日を送っていた。  ある日、弥太郎は女を買い付ける為に地方の農村へ向かい、そこで白髪の美しい娘“りる”と出会う。  貧しいご家庭から女を買い叩く。いつも通りに仕事をこなしただけ。  ただ一つ、普段と違う点があった。  腐った心には虫が集(たか)る。  りるはそれを見通す、『神の娘』だった  舞台は青線地帯として栄えた戦後の池袋。  戦災復興が進む中、真っ当な社会からあぶれた負け犬たちは、非合法の娼館街でそれでも懸命に生きていく。  けれど花街には時折、不思議な客が訪れるもの。  りると出会ったことで、弥太郎は否応なく“虫”が引き起こす、不思議な出来事に遭遇する。  これはゲスな女衒と神の娘が綴る奇妙な物語。  おぞましくも暖かい、心にわいた虫のお話。   【注意】  主人公が女衒(人身売買業者)です。  娼婦・売春・人身売買などの要素あり。  時代背景的に人権意識の低い発言が多く、そういったものに憤りを感じる方はご注意ください。  また虫を食べる描写があります。

更新:2019/5/10

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