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作:楠井飾人

マダラな鳩と蒸気の空

 『世は末期、革命の時来たれり。故にこれより、文明を一つ進める』  聖人暦1036年。蒸気機関の登場によって起きた産業革命により、中世から別れを告げた近代の世。  革命王の宣言から約40年の月日が経ち、前時代のあらゆる仕事や産業は、機械や新しい発明にとって代わられた。そんな時代である。当然、『彼ら』が巻き込まれてしまうのも、何ら不思議な事ではないのだろう。  そう。彼ら——『冒険者』は、他の古い産業と同じく衰退産業である。  かつて『民間の騎士』とまで謳われた冒険者は今や、道行く人間たちに『おい見ろよ、あいつらまだ冒険者やってるぜ?』と、冷笑され、また冷遇される存在である。  そんな冒険者ギルドの一つである【RASCAL HAUNT】に所属する冒険者——ルース・クラークとキキ・アグノーメンは、自分達の扱いに不満タラタラ。毎日毎日、ぶぅぶぅ悪態のパーカッションを叩き合いながらも、何とか仕事に打ち込んでいた。  「キキさん……冒険者って何でしたっけ? 何で俺たち、飲食店のウェイターやってるんスか……」  「しょうがないでしょ! 仕事ないんだから!」  ——これは、そんな激動の時代を生きる冒険者達が織りなすドラマツルギー。  スチームパンクな空を飛ぶ、マダラな鳩達が見た時代の一幕であり、ファンタジーがファンタジーでなくなってしまった異世界での物語である。  不定期更新。カクヨムにも投稿しています。

更新:2023/10/20

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