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タグ:集英社小説大賞2

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作:まなみ5歳

異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。

「嘘だ…こんな…」 灰色の石壁に覆われた薄暗く肌寒い部屋の中、僕の目の前に置かれた巨大な水晶珠に映し出されるのは、人の住む街が破壊しつくされた「地球」 炎から逃げ惑う群集。襲い掛かる異形の怪物。応戦する各国の軍隊。 怪物に降り注ぐ弾幕はにわか雨のごとくぱらぱらと弾き返され、怪物たちの怒りを増すばかり。 そして、既存の兵器では傷ひとつ付けられぬ怪物に向けられたのは諸刃の剣。 怪物が占拠した街に落とされた光の玉がすべてを焼き尽くすところで映像が途切れる。 「預言書」が見せた数年後の未来。僕は自分の産まれた世界を犠牲にして異世界(ここ)を救ったという。 僕は叫んだ。 「こんな結末は望んでいない!」 光を発しなくなった水晶球のそばに佇んでいた小さな人影が動く。 「落ち着け小僧!あれはわしが最初からヒントをすべて教え、必要な物を渡したら何故かああなってしまったという「もしもの世界」の話じゃ」 真っ黒なゴスロリ服に身を包んだ少女がそう答えた…。右目を光らせて。 「だから、ヒントは与えないことにしたのじゃ。小僧、すまぬ…」 ドスンと鈍い音と同時に頭に強い衝撃を感じ、僕の意識は遠のいていく。 「記憶を消させてもらうぞ」 --- 週末の昼下がり、ファストフード店からの帰りに運転していた車ごと異世界へと呼び出された僕。 目の前に広がるのは灰色の石畳、そして見たことも無い巨大な西洋風の城。人影の無い王宮の中庭でハンバーガーを食べようと包みを開いていたとき、突然目の前に現れた女の子。 彼女は自分を「糧」として食べてほしいと言い出した。 そして自分の命と引き換えにこの世界を救ってと懇願する。 謎の「預言書」が絶対的な力を持つ王国で、魔導具もろくに使えないおよそ勇者らしからぬ主人公がいろんな女の子に振り回されながら、最悪の結果にならない道をノーヒントで探しつつ、異世界を満喫します。

更新:2024/4/23

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