ユーザー登録・ログイン

新規登録

ログイン

作品

レビュー

登録/ログイン

その他

オノログについてFAQ利用規約プライバシーポリシー問い合わせユーザー管理者Twitter
レビューを投稿
書籍化
コミカライズ原作
ジャンル別
サイト別
サイト関連
運営している人

@オノログ

想いの旅路、ひとを形作るこころの姿

5.0
1

 優しい文体、それが第一印象でした。児童文学のように柔和でわかりやすく、囁いて来るような筆致に導かれ読み進められるのですが。語り部がどんなに優しくても、吟遊詩人が美しい調べに乗せたとしても、世界は残酷であると気付かされます。



 主人公は記憶を失った少女、アリス。

 ひっそりと暮していた優しい治癒師カインツと出会い、色々な出来事の過程、新たな人との出会いで経験を積み重ねていきます。


 悪魔とは?精霊とは?この世界は?


 数々の謎とアリス自身の真実を見つける旅路の中で、彼女がこの世界で得る経験を追体験していく物語。



 それぞれのエピソードで、物語を彩る登場人物たちの感情が緻密かつ丁寧に表現されていて、光が影を作るように、憎しみの影には哀しみが。やさしさの裏には後悔が。相反するものが、何度も繰り返し打ち寄せてきます。

 人は相手を上っ面で判断しがちですが、一人の人間の中には常に表裏一体でプラスの感情とマイナスの感情があり。この人はこういう人だなどと、一言で表現できるほど世界も人間も単純ではないと知る事となり、とにかく人物描写が深いの一言です。


 葛藤や苦しみの救いとなる一筋の光明は、優しさなのか正しさなのか強さなのか。本当の意味での救いとは?

 残酷な出来事に心をえぐられますが、えぐられたこそ掘り出される新たな感情への気づき。

 これは、己のこころの姿を知る物語でもあります。

MACK

登録:2021/7/21 06:05

更新:2021/7/23 17:15

こちらはMACKさんが読んだ当時の個人の感想です。詳細な事実については対象作品をご確認ください。

同じレビュアーの他レビュー!!

奴隷屋の日常

善や悪というカテゴリを持たない主人公の物語

 作品タイトルからわかる通り、主人公は奴隷屋。奴隷を売買するという商売をしている青年シリウス。その相棒ともいえるライファットと共に過ごす日常や、過去の出来事のエピソードが綴られた物語です。  奴隷の売買をする奴なんて、ろくでもないのではと思いきや、彼は善人でも悪人でもないです。  奴隷の生活環境を良くしてこそ商品としての価値は高まり、客ともwinwinという理念で、奴隷を商品として丁寧に扱うし、銃や剣に名前を付けて大切にする。物と人に対するベクトルが同じなのかな?という部分も。  「身内」と呼べる相手以外に対しては、物であっても人であっても、大事にすべきものは大事にするし、いらなくなったら捨てるというクールでドライとも言える部分もあり、こういう性格の主人公であることが、とにかく他に類を見ない気がします。  だからといってどっちつかずという訳でもなく、中庸というわけでもない。掴みどころがあるような、ないような。でも裏表がない、なんとも気持ちの良いキャラクターといった感じで。このシリウスという男を知るためだけでも、読む価値あり。  ライファットとのバディ感あるやり取りも小気味よいです。  日常といっても、事件が皆無なわけではなく、ほんわかするものから手に汗握るような色々なエピソードがあり、その物語ごとにキャラと世界観が深まっていき、気付けば最新話を心待ちにしてしまうという作品です。

5.0
1
MACK