ユーザー登録・ログイン

新規登録

ログイン

作品

レビュー

登録/ログイン

その他

オノログについてFAQ利用規約プライバシーポリシー問い合わせユーザー管理者Twitter
レビューを投稿
書籍化
コミカライズ原作
ジャンル別
サイト別
サイト関連
運営している人

@オノログ

少年よ、その剣で未来をひらけ。恋と願いが絡みあう救国冒険ファンタジー。

5.0
0

 新入り騎士の少年カートと人形遣いの魔導士ピアを中心として描かれる、謎と企みと、(主人公以外の)恋の三角関係がもつれあう冒険ファンタジーです。

 丁寧な伏線と、人物それぞれの人間関係が、物語の味わいを深めていました。


 冒頭で畳みかけるように事件が起き、年代が飛んで主人公が登場、という構成になっていますが、この事件それぞれが後の謎を解き明かすための鍵ともなってきます。

 主人公カートが登場するのは第一章の第五話ですが、彼がとても良い子で可愛いのです……!


 品行方正で礼儀正しく、目上の者に敬意を示し、理不尽な仕打ちにもじっと耐え、――と、正直この辺りで「我慢しちゃうの!?」という気持ちが湧いてくるのですが、カートのそういう姿勢が変化してゆくのも、この物語で描かれてゆく少年の『成長』だったりするわけです。

 全体を通して、登場人物たちの言動や思想には理由があり、意味があり、終盤の謎解きターンで真相がぐいぐいと明らかになってゆくのが本当に面白い。謎と伏線も複雑すぎることはなく、適度な推理が楽しめます。


 テーマのはっきりした物語でもありますから、読み進めていく中でふと手を止め、作中で問い掛けられることを考えてみるのもよいでしょう。

 王道ながらもじっくり深く楽しめる、少年たちの成長物語。文庫本一冊程度の完結作品です。ぜひご一読ください。

眞城白歌

登録:2021/7/24 10:24

更新:2021/7/24 10:24

こちらは眞城白歌さんが読んだ当時の個人の感想です。詳細な事実については対象作品をご確認ください。

同じレビュアーの他レビュー!!

妖魅夜暁

僕らは何に為れるのか。何を成せるのか。怪異の謎を解く現代風・妖怪奇譚。

 ありふれた高校生活を送っていた幼馴染三人――離宮涙人、延生凱斗、志場神羽花――が、ふいに現れた異形に襲われ、『妖魅』と呼ばれる妖怪の世界へと引き込まれていく、現代ファンタジー。  園芸を愛する涙人、野球に情熱を燃やす凱斗、病弱で疲れやすい羽花。性格も好みも違うけれど仲の良い三人は、神戸ルミナリエの初日に阪急神戸線・花隈駅にて、非常に奇妙でおぞましい姿の怪物に襲われます。  少年二人は羽花を守ろうとするも、得体の知れぬ相手に戦うすべもなく大怪我を負わされてしまい、そこに現れた年配の男性に助けられるのですが。その後、三人は、人生を左右する決断を迫られることになるのでした。  物語は三人それぞれの視点を交代しながら、妖魅と関わることによって生じた少年少女の内面変化を、丁寧に書きだしてゆきます。  写実的で世相を反映しつつ描かれる現代社会の裏側に、現代に生きる妖魅たちの世界が息づいている。そんな日常と隣り合わせの怪異が現実に侵食してゆく様は緊張感がありますが、登場キャラたちはやわらかく個性的で、女性キャラは可愛らしいです。  冒頭に現れた異形が、どんなふうに物語と関わってくるのか、少年少女はどんな決断をくだすのか、興味は尽きません。ぜひご一読ください。

5.0
0
眞城白歌

魔王の棲家~天才魔術師と老いた英雄達の物語~

譲る命に想いを託し、老傑たちよ集え! 未来の光を絶やさぬために。

 天才を自負する魔術師の青年が派遣された【魔王の棲家】。  どれほどの強敵が待ち構えているのかと心躍らせる彼だったが、そこで待ち受けていたのは、老いた英雄たちを介護し暴走を食い止めるという、予想外の毎日でした。  冒頭から始まる主人公セイルの苦悩は、高齢化が進む社会ではありふれたものかもしれません。才能に恵まれ、未来を夢見る若者が、意思疎通も困難な(しかし能力は魔王級な)年配者たちに振り回される様は、ままならない現実を想起させます。  しかしどんな境遇に置かれたとしても、心のありようで状況は変わってくる……ということを、セイルは少しずつ知っていくのです。  今は年老いて、何もかも「わからなく」なっているとしても。  過去の栄光を忘れられず、頑なになってしまっているとしても。  家族と過ごすことをあきらめ、閉ざされた施設を終の家として受け入れているとしても。  彼らはやはり、英傑たちなのでした。  小さな事件が波紋のように、大きな事件へとつながってゆく。丁寧に編まれた伏線を回収しながら盛り上がるクライマックスは、序盤の物悲しさを忘れさせてくれるほど躍動的です。  そして、往年のファンタジー好きなら判るであろう「格好いい演出」が至る所に織り込まれているのも、熱い。  全体で7万文字ちょっとという、サラッと読み切れる長さの長編です。読み終えたあとにはきっと、胸が温かくなる感動が待っていることでしょう。  ファンタジーにあまり触れたことがない方も、往年のファンタジーにどっぷり浸かって育った方も、楽しめる作品です。ぜひお読みください。

5.0
0
眞城白歌