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妖なる力が人の闇を暴きだす。鬼を斬り心を救う、短編連作の伝奇時代小説。

5.0
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 史実とは少し違う日本を舞台に、闇の心を魅了する「妖刀」と、それに対抗するため組織された裏の新撰組――「壊刀団」、その闘いを描いた時代小説風のバトルファンタジーです。

 時代モノに見合う密度の高い文体ですが、読みにくさはありません。重厚さを保ちつつも軽妙で読みやすい、そんな筆致になっております。


 物語は、「見ない、聞かない、言わない」を中核とした、三本立ての短編集。大見出しごとに別の人物が描かれていますので、気になった所から読むことができます。

 まずは最初の三話、1万字ほど読んでみて、雰囲気を味わってみてはいかがでしょう。


 各話に出てくる中心人物は、かなり癖の強い人物です。盲目や難聴といったハンデを持ちながらも妖刀を自在に操る、いわば天才たちなのですが、人物造詣が巧みなので好感が持てます。

 彼らに憧れ、あるいは見守る周囲の仲間たちも人間味あふれる人たちで、心の動きがこまやかに描かれていきます。


 迫力あるバトルアクション、心の闇と対峙する人々の葛藤、そういった見どころが散りばめられた伝奇時代小説、ぜひ読んでみてください。

眞城白歌

登録:2021/7/27 23:53

更新:2021/7/27 23:53

こちらは眞城白歌さんが読んだ当時の個人の感想です。詳細な事実については対象作品をご確認ください。

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