レビューを投稿
ジャンル別
サイト別
書籍化
タグ別
一覧
サイト関連
運営している人

@オノログ

乱歩のまなざし

作品詳細
卒業論文のテーマ決めが迫ってきた文学部国文学専攻の「私」は、「実験台になってくれませんか? 時給一万二千円」という破格のアルバイトに応募したことで心理学部の名木橋と知り合う。オレサマでワガママな名木橋に翻弄されながらも、「私」は自分が幼い頃からミステリーに慣れ親しんできたこと、中でも江戸川乱歩の『怪人二十面相』シリーズに親しんできたことを自覚する。すると名木橋が、「乱歩をテーマに卒業研究をすればいいじゃないか」と言ってきて……?  ※ 当サイトに載せられている文章の著作権は全て飯田太朗に属します。

乱歩を読んでなくても大丈夫

5.0
0

 タイトルにもあったので、乱歩作品を読んでいないとわからないかもという不安がありましたが、未読でも全く問題なし!という事を、まず。

 もしそれを気にして読んでいない方がいらっしゃったら、ご安心下さい。私は少年探偵団のシリーズしか読んでないけど、大丈夫でした。


 「私」視点の、「私」の物語。

 女子大生の、リアリティある心情と、学生生活、人間関係。

 ジャンルはミステリーになっているけど、人間ドラマに感じられました。「私」のドラマ。

 

 文学の話かと思いきや、心理学についての内容が濃密で、読み終えると色々な知見が得られている点も一読をお勧めできる部分ですが、これら一見、難しそうで尻込みしてしまう要素に見えて、それが面白さに転換されているという。


 作者の文体、構成、表現が秀逸。馴染のない理論や用語がわかる、すらすらと。

 最初は軽く読もうと思って、まず各話の最初の二行、最後の二行だけを見たのですが、その間が読みたくて仕方なくなりまして。


 全部読みたい。

 

 この引力をどう表現したらいいのか。


 難しそうで、自分に合わないかも?と思われるなら、まず私と同様に最初と最後の二行を読んでみて欲しいです。間違いなく、全文読みたくなります。


「私」のキャラも、准教授の名木橋のキャラも、とても印象と記憶に残る人物像で、各話でいろいろと、心揺さぶられます。最初に人間ドラマと書きましたが、強いてミステリー感を感じたのは名木橋という人物ですね。カッコイイけど、存在が何気に謎めいているというか……。

 熱く感想を語れる要素が多いので、この作品レビューを書く人は、自然と長文になる点でも、色々とお察しください。

MACKさん

登録日:2021/8/5 17:19

更新日:2021/8/5 17:20

問題を報告する

こちらはMACKさん が読んだ当時の個人の感想です。詳細な事実については対象作品をご確認ください。

コメント

※コメント機能はユーザーのみ利用できます。

MACKさんの他のレビュー
カクヨムファンタジー2万文字以下

12月25日、午前零時の領空権

作/スキマ参魚

重い内容を含むのに、そのすべてを吹き飛ばすパワー系

 短編ですが、ものすごく色々な要素が詰め込まれています。  少年の過去が哀しく重い…。クリスマス+サンタクロースが幸せモチーフのように描かれるイメージは粉砕されました。  ただ、描かれている重い内容も、一緒に粉砕されるという。読後感がよく、とても痛快です。  とにかく、空中で繰り広げられる熱いバトルに刮目せよ!という内容でもあります。

5.0
MACK
カクヨムファンタジー10万文字以上

奴隷屋の日常

作/坂牧 祀

善や悪というカテゴリを持たない主人公の物語

 作品タイトルからわかる通り、主人公は奴隷屋。奴隷を売買するという商売をしている青年シリウス。その相棒ともいえるライファットと共に過ごす日常や、過去の出来事のエピソードが綴られた物語です。  奴隷の売買をする奴なんて、ろくでもないのではと思いきや、彼は善人でも悪人でもないです。  奴隷の生活環境を良くしてこそ商品としての価値は高まり、客ともwinwinという理念で、奴隷を商品として丁寧に扱うし、銃や剣に名前を付けて大切にする。物と人に対するベクトルが同じなのかな?という部分も。  「身内」と呼べる相手以外に対しては、物であっても人であっても、大事にすべきものは大事にするし、いらなくなったら捨てるというクールでドライとも言える部分もあり、こういう性格の主人公であることが、とにかく他に類を見ない気がします。  だからといってどっちつかずという訳でもなく、中庸というわけでもない。掴みどころがあるような、ないような。でも裏表がない、なんとも気持ちの良いキャラクターといった感じで。このシリウスという男を知るためだけでも、読む価値あり。  ライファットとのバディ感あるやり取りも小気味よいです。  日常といっても、事件が皆無なわけではなく、ほんわかするものから手に汗握るような色々なエピソードがあり、その物語ごとにキャラと世界観が深まっていき、気付けば最新話を心待ちにしてしまうという作品です。

5.0
MACK
カクヨムファンタジー10万文字以上

異世界転移していない!? ここは-システムエラー-界らしいです~ちょっとおかしなゲームを攻略しなきゃいけなくなりました~

作/砂漠の使徒

トライアルアンドエラーのゲーム攻略

 文面が淡々としていて、主人公の佐藤君も、すっごい小ざっぱりしていて、ゲーム世界の、命の軽さみたいなのと絶妙にマッチして、独特の世界観が構築されている、ちょっと一味違う異世界移転系。  とにかく、佐藤君は死ぬ。  佐藤君に残機的な概念はなく、本人にはどうにもできない理由で、軽くさくさく死んじゃう。チート?何それ?みたいな。  何度死んでも、オートセーブの地点に戻るから、もう一度のリスタートができ、一度体験したことを回避する事に佐藤君は頭を捻りまくるのですが、それに全く悲壮感もなく、恐怖心的なものもなく、なんとも軽い。  だからこそ読める。もしこれが、死の恐怖を超リアルに描き、苦悩しまくる主人公だったら3回目ぐらいのリスタートで読んでる方が挫けそうなんだけど、良くも悪くも、ゲームっぽさ。  「あっ、選択肢を間違えたっぽいやり直そうリセット!」……みたいな事を、ゲームでは皆やった事があると思うのですが、それぐらいのライト感。佐藤君は、ゲーム世界の住人になってる、っていうのがこう言う部分でもわかる。  そして困ったのが、このゲーム、なんかバグってる……?  アイテム欄なんて文字化けしてるしで。  こんな波乱万丈な異世界移転系、かつてあっただろうか。  テンプレのようでテンプレ感なし。クリアすれば、元の世界に戻れるのかもわからないけど、暗さはない。  ヒロインのシャロールちゃんが可愛く、途中からラブコメ度が加速していきます。  全体的に台詞シーンが多めで、気軽に楽しめる物語です。  以上、%$#?>//からお伝え……エラーが発生しました。

5.0
MACK

おすすめレビュー

ホームズvs李書文

最高の名探偵と最強の武術家、ワクワクしかない組み合わせ

最高の名探偵と最強の武術家、ヴィクリトリア時代の英国と中国武術の化学反応、そしてユーラシア大陸をまたにかけて活躍するホームズ。武術家とホームズ、どちらか好きなら間違いなく楽しめる作品です。

【短編】シニガタリ

短編と侮るなかれ、濃密な作品

カクヨムコンで佳作を取った作品であり、期待通りの面白さでした! きっとこの予想外な展開で審査員をも唸らせたんだと思います。 私は「――1――」の最後の一文と、エンディングが好きでした。 短編とはいえど濃密な作品を拝読できたこと嬉しく思います。

例えば君が、見えていたなら

ミステリー、事件を紐解く心理学

 筆者が書く「名木橋シリーズ」の短編のうちの一作品。シリーズ作品のひとつ”正史の悪魔”の主人公であった「僕」の、その後の出来事が綴られていますが、そちら未読でも楽しめます(読んでいるとなお楽しめる)。  授業風景から幕開けする物語に、探偵扱いされてしまう心理学者。  彼の中に巣くう悪魔がチラチラと顔を出しながらも、その心理学から得られるヒントと知見から、鮮やかにその問題に向き合います。  心理学をテーマにしているだけあって、「僕」を含め「依頼者の女の子」、そして「幽霊」さえも、その心理の流れと揺らぎが表現されており、読後に不思議な感覚を残します。  ミステリーを解決まで読み切ったという達成感と同時に、人の心の繊細さと闇、人間心理が引き起こす不思議な結果、それによって更にもたらされる新たな心理。ドミノ倒しのように連鎖する心の動きは必見です。

安楽庵探偵事務所 〜尋ね人は異世界です。〜

独特の言い回しと世界観、キャラの個性が激尖り

 ミステリアスな探偵事務所。  そこを目指す一人の男の登場から物語ははじまるのだけど、しょぱなの事務所の紹介の文章からしてリズミカルで、不思議な雰囲気を醸し出しています。  物語は短話的にまとめられており、客が来る、説明する、調査開始、結果のお知らせ、ジャガイモ料理に至るという流れで構成が統一され、一種のテンプレート状態。リピートされるような感覚に支配されつつも、各話違うモチーフが出て来て、パターンに慣れて来る辺りで、アレンジが入って来るので飽きる事はなし。  異世界での人探しシーンはほぼなく、基本的に現代パートのみでの構成です。依頼人の心情を解き明かす事がメインと言う感じですね。〆はジャガイモ料理が据えられます。  登場人物がすさまじい個性を放っており、名前も独創的なので一度見たら忘れられないのもこの作品の特徴かもしれません。  ジャンル的にもミステリーなのか、コメディなのか、ヒューマンドラマなのか、現代ファンタジーなのか、迷う内容ですね。一ジャンルに括れない。  用語的には東洋系の占いに詳しい人ならなお理解が深まるのかも?と言う部分があるかも。

誰か来た

他人のものを盗むことと、別のものの姿を借りること

 仕事もせずに引き篭もってゲームをしていたら、留守宅と勘違いされて泥棒に入られてしまった人のお話。  シンプルながら鋭い切れ味の、ホラーあるいは現代ドラマです。ジャンル通りミステリでもありますが、いわゆる謎解きや推理もの的な意味でのそれではありません。個人的にはホラー感が強いというか、ホラーだったらいいなと読後に思いました。終盤のこう、なんだかゾッとするような重たい怖さが印象的だったので。  ピンチから始まり、手に汗握る場面の続く前半から、一転して落ち着いた雰囲気の後半へ。動きの多かったはずの前半が溜めとして効いて、静かな後半の方がどうしてか怒涛の展開に見えるという、あるいはそう見えるほどのその『内容』が好きです。主人公の抱えているもの、文章越しに吐き出されるもの。お話そのものが浮き彫りにせんとする主題の部分がとても強く、かつ大胆に切り込んでくる感じがたまりません。一番大事な芯の部分を、真っ直ぐ叩きつけられるような感覚。「これは何の物語なのか」という問いがはっきりしているお話は、やはりそれだけで魅力的なものだと思います。

本棚

作品へ

ログイン

新規登録

通知

こちらはユーザー用の機能です。

一覧
to_top