柔らかなものがたりの語り口。
そこから、非常に穏やかでメルヘンチックな物語かと思い読み進めると、大いに良い意味で裏切られます。展開は、残酷で、非情で、示唆に満ちていて。
けっして、口当たりの良い物語ではありません。
長い物語ですので登場人物がそれぞれ抱えた謎には容易に到達しませんが、
それらを丁寧になぞっていくストーリー展開が続きます。
ですので、まずはその文章の「誠実さ」を感じて下さい。
また、そのなかに何の伏線が隠されているのか、
一言も逃さぬよう必死に目に留めて紐解いて読もうという気持ちになります。
なので、是非ゆっくりじっくり読んで下さい。
そうしないとこの作品の魅力は減してしまうと思います。
そして作者の、この世界に込めた善と悪も、やさしさと非情さも、妥協せず、率直に表現してみせようとする姿勢に感銘を受けて下さい。
登録:2021/7/10 11:18
更新:2021/7/23 17:15