【物語は】
ある疫病の蔓延により不況の煽りを受けリストラされた主人公。頼る相手もなく、ホームレスとなる。しかも、運悪く疫病にかかり生涯を閉じた。彼は病床で、次に生まれ変わったらケガや病気、飢えと無縁な体に生まれ変わりたいと望んでいた。そして、目を開けたら洞窟に。そこで何故か二回食われるという経験を⁈
【物語の魅力】
主人公は、自分が亡くなったことに気づかづ、夢が叶ったことにも気づかない。現状を楽しむことにした主人公であったが、どういうわけか身体が言うことを利かない。度々自分の意志に反して暴走(?)するのが面白い。
移動しているうちに、ある人物へ遭遇。ロボットになった主人公は、どうやら会話は出来ないようだ。そこで、ジェスチャーや文字で会話を試みるのだが。
夢と思い込んでいるせいか、かなり伸び伸びとしている。心理描写が丁寧かつ、面白くつい笑ってしまう。だが、ただ面白いだけではなく、シリアスな部分もある。
イラストもついていて、可愛いなと思う部分もあれば、こわっ!と思わず溢してしまうイラストもあり。全体的にコミカルで、主人公の自分自身の性能に対するツッコミが面白い。
【登場人物の魅力】
ブラック企業で、人に仕事を押し付けられていた主人公。リストラに合い、その後も不憫な人生となり、一生を終える。次に目を開けたとき、ロボットになって居た。夢だと思い込み、夢を楽しみ始める彼。ホームレスの頃の憂いは、夢だと勘違いし洞窟を探索していくうちに、跡形もなくなっていく。
彼を明るくしたのは、新しい身体だけではない。ある出会いも関係しているようだ。話しが進むにつれ、どんな性能があるのか、分かって来る。ロボット自体が面白い。
笑いだけではなく世界観が分かってくると、一緒に洞窟から出るのに同行した人物の境遇も分かって来る。主人公は、少しずつ彼女との絆を築いているように感じる。この先、どんな風に物語が展開されていくのか楽しみである。
【物語の見どころ】
ホームレスだった主人公は、自分が既に亡くなっていることを知らずに夢だと思続け、ロボットとして新しい人生を思いっきり楽しんでいく。しかし、彼の心は人間のまま。優しい心を持ち、偏見を持たず少しずつ新しい世界に馴染んでゆく。彼の人間らしいところが彼の良さであり、物語の良さなのではないだろうか。
彼はこの世界で生きていく中で、自分が受けた苦しみを、一緒に旅する女性に重ねる部分がある。それは、今を楽しんでいる主人公の、憂いの部分だ。
笑ってしまうところは多いが、しっかりとしたヒューマンドラマである。
彼は新しい世界で生活している中、自分が異世界に転生したことにいつか気づくのだろうか?
この物語は読了部分で、はラストまでの展開の想像がつかない。
一体どのようなラストを迎えるのだろうか。
是非、あなたもお手に取られてみませんか?
笑いあり、切なさあり、そして心温まるエピソードも満載の素敵な物語。
お奨めです。
登録:2021/8/7 21:24
更新:2021/8/7 21:24