この作品の感想文で、散見される言葉である。
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根っこに独自の神話体型があるファンタジーは数多くあるが、この小説は一歩踏み込み、『地面は物理的に平らである』としている。地球平面説が採用されているのだ。
さらには、『大地と海はひとつではなく』『22に分割され』『縦に並んでいる』という。ややこしいが、この世界観を一枚の絵図として考えてみたとき、豊かな『ロマン』が詰まった世界観であると気付くだろう。
そんな世界を旅行するため、特別な乗り物が発展している。それを『飛鯨船』という……。ここも『ロマン』ポイントだ。
最初の舞台は、そんな世界の最下層。『黄昏の国』と呼ばれ、『星が見えない国』かつて 『アトランティス』と呼ばれた大地……ここも『ロマンポイント』である。
そんな国の王族にもまた、ロマンたっぷりなお話がある。
王家で継承権を持つものには、生まれたときから『語り部』なる『魔人』がひとりにつき一体つく。この魔人とはアラビアンナイトの『ランプの魔人』と同じようなニュアンスで、主人に忠実に仕え、そして特別な絆があることも語られるのだ。はい、ロマンポイント。
このように、こころ躍る設定の数々を下地にして、物語は、主従愛、友情、家族愛、ボーイミーツガール、勇気と希望といった王道テーマを、着実に絡めて描いていく。
少年少女が使命をもって冒険に挑むという点で、『ナルニア国物語』や『指輪物語』が、類似するだろうか。こうした『レトロ』なテイストのファンタジーをお求めの方が、この物語を見つけてくれることを願う。
『ああ、こんなファンタジー読みたかった!』誰より筆者がそう思ってほしくて書いたので。
登録:2021/8/15 04:39
更新:2021/8/15 04:45