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届かない花火

5.0
2

1949年の新潟。ヒカリと勇と幸雄の3人は慰霊のために打ち上げられる正三尺玉を見たくて、仕事の休暇を取ろうとしていた。だがある日の仕事終わり、海辺に居合わせた3人はとある事件に巻き込まれて……


終戦から数年後の新潟を舞台に繰り広げられる3人の少年少女の青春。工場での毎日、数ヶ月後の慰霊花火、大切な人たちのこと。それらが確かな文章力で丁寧に表現されている。


これから大人になるという彼女らにとっての当たり前の日々は、一発の機雷によって吹き飛ばされてしまった。クライマックス、ヒカリの思いがひしひしと伝わってくる。大切な二人を失った彼女の心に正三尺玉花火は届かなかったのだろう。


彼女のそれからの人生に少しでも救いがあるといいなと思う。心に残る一作だった。

石嶋ユウ

登録:2021/8/15 12:37

更新:2021/8/15 12:37

こちらは石嶋ユウさんが読んだ当時の個人の感想です。詳細な事実については対象作品をご確認ください。