高校受験は、現代では比較的多くの人が経験する人生の曲がり角だろう。
目的地へ向けてワープする人、堅実な一歩を踏み出す人、そしてそうではない人。出願倍率が1.0を切るような過疎の進む地域の学校じゃない限り、番号が見つからない人は必ずいる。
大人になれば、それだって1つの通過点や1つの評価でしかない、とわかるのだろうけど。やっぱり未成年にとって、受験で落ちるというのは将来に軽く絶望するに能うだけの破壊力を持っているんじゃないだろうか。
何かつらいことがあったとき、放置じゃなく、根掘り葉掘りするわけでもなく、こんなふうにそっとしておいてくれるお母さんがいてくれたら──そんな、「自分にはあり得なかったIF」を想ったら、はんぺんチーズフライの味がじわーっと胸に沁みました。
言葉じゃなくて、感情がそのまま流れこんでくるような……そんな「エモーショナル」な作品です。お勧めします。
登録:2021/8/31 22:09
更新:2021/8/31 22:09