ユーザー登録・ログイン

新規登録

ログイン

作品

レビュー

登録/ログイン

その他

オノログについてFAQ利用規約プライバシーポリシー問い合わせユーザー管理者Twitter
レビューを投稿
書籍化
コミカライズ原作
ジャンル別
サイト別
サイト関連
運営している人

@オノログ

巧みな構成。深い物語。和風ファンタジーの傑作。

5.0
0

 妖雛(ようすう)。人間でありながら妖怪でもある存在。「物の怪」と呼ばれる異形の魔物と戦う宿命を背負った妖雛の少女を主人公にした、和風ファンタジーです。


 三人称でありながら、情感豊かに綴られる地の文。

 重厚に練りこまれた世界観。

 自分の事を「俺」と呼び、明るい口調で話す妖雛の少女、志乃。一見おどおどしているようで、凜とした佇まいを見せる妖雛の少年、芳親。彼女らを取り巻く、魅力的な登場人物たち。

 本作の魅力はそれこそ語りつくせない程あるのですが、なによりもテンポよく進む物語でしょうか。

 世界観を説明しながら、どんどん展開が進行していく第一章。

 志乃の過去に触れ、一転しておだやかなテンポで進む第二章。

 読めば読むほどに、巧みな構成力に舌を巻くこと請け合いです。


 ──長閑な春の道。

 ──ゆったりと進んでいく彼女たち。


 志乃が辿った冒険活劇を、追いかけてみませんか?

木立花音(こだちかのん)

登録:2021/10/3 12:37

更新:2021/10/3 12:36

こちらは木立花音(こだちかのん)さんが読んだ当時の個人の感想です。詳細な事実については対象作品をご確認ください。

同じレビュアーの他レビュー!!

麗しのサブマリン

栄光の裏に隠された、敗者なりの美学

 野球というスポーツに、どんなイメージを持ちますか?  大抵の人は人気の高い花形のスポーツであると同時に、男性がプレーするもの、という印象を抱くことでしょう。  もちろんそれ自体間違いではないのですが、近年は女子野球のリーグも存在していますし、小学生~中学生までの少年野球の世界においては、男の子に混ざってプレーする女の子がいるのも事実です。  さて本作は、そういった少年野球の世界で、女性でありながらエースナンバーを背負っていた主人公ヒカリと、彼女のライバルであった少年──石崎の視点で描かれる青春物語です。  もっとも、ライバルとは言っても対戦成績は石崎の全勝。  どうやっても彼を打ち取ることが出来なかったヒカリでしたが、〝ある日〟起こった悲劇により、志半ばにして野球の道を諦めてしまうのでした。  しかし影響は彼女のみならず、彼女を野球の道から引き摺り下ろす切っ掛けを作った石崎の側にも波及しており──。  スポーツものの作品というと、才能溢れる主人公による無双劇とか、強力なライバルとの胸躍る対戦を軸に描かれることが多いのですが、本作は少々趣が異なります。  地面スレスレからボールをリリースするアンダースローという独特の投法を身に付けているヒカリは、確かに才能のある選手ではあるのですが、そこは女性ということもあり男性ばかりの世界においては度々苦労を強いられます。  そればかりではありません。  彼女に野球をして欲しくない母親との確執。後にプロ野球選手にまで上り詰めた石崎との再会。彼にエールをおくりつつも、腹の底で抱える複雑な心境。  数々の壁に当たり、挫折して一度は這いつくばって、それでも諦めずに彼女が立ち上がるまでを描いた、光と影の物語とでもいうべきでしょうか。  高い壁を乗り越えて、再び草野球のマウンドに立ち因縁の相手と対峙したとき、ヒカリが抱えてきた未練の全てが払拭されていくのです。   『麗しのサブマリン』というタイトルの回収と、泥臭くも立ち上がる彼女の姿が印象的な本作。再び相まみえたライバルたちの対決の行方を見届けてみませんか? ◇  上体に捻りが生まれる。右腕が鞭のようにしなる。  地面スレスレから放たれたボールが、ど真ん中目掛けて突き進む。  青空をバックに、白いボールが弧線を描いた──。

5.0
1
木立花音(こだちかのん)