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@オノログ

異質。しかし本物の文学がここカクヨムにあるならばそれは異質なのです。

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例えば芥川の小説がカクヨムにあったとして、それにレビューをつけて宣伝することが彼の作品にふさわしいかどうか。その答はもしかしたら「否」なのではないかと思っています。


僕はこれまで良い作品があればレビューを書くのを最大の賛辞とし愛情表現としてきました。それに疑いがなかった。しかし本作を読んで、そうしたレビューと宣伝がこの作品に果たしてふさわしいのだろうかと考えざるを得ませんでした。読者が増え、星も増え、ランキングに載る。そういった幸福が、果たしてこの作品と作者のそせじ番長さん(中田さん)の望むものなのか。その答はもしかしたら「否」なのかもしれません。


とはいえ他にしようが無いのでレビューを書いてしまうのですが。でも、もうここまで書いたことだけで、僕の言いたいことはお分かりでしょう。僕のレビューは放っておいて、早く本作を読むべきです。


さて、本作は次第に狂気にとらわれていく芸術家の話です。ほんの些細な感覚からその狂気は始まります。僕は作者の中田さんとしばしばツイッター上でやり取りをさせていただいているので、その部分は多分普通の人とは違った感慨をもって読みました。読みながら思い出したのは、いつか僕が死にかけていた時に頂いた言葉です。一字一句正確には覚えておりません。しかし大意としては「私達は人には見えないものを見ることが許されたのです」ということだったかと思います。僕は本作を読みながら快哉を叫びました。「そうですよね、中田さん」。


僕はかつてこういうものを書きたくて筆を執ったのではなかったか、そう思わされる作品でした。

辰井圭斗

登録:2021/10/5 16:43

更新:2021/10/5 16:42

こちらは辰井圭斗さんが読んだ当時の個人の感想です。詳細な事実については対象作品をご確認ください。

同じレビュアーの他レビュー!!

一見、悪徳に見えて、ただ小説を勧めているだけの男

エッセイ部分も面白いよ

この作品に関してはレビューなんて求めていないのかもしれませんけどね。なんか書きたくなったので書かせてください。 姫乃さんには敵わないなというのが正直な感想です。類似の(?)作品を僕も書いているのですが、こんな面白く書けないなと思います。僕ももっと頑張らないと。作品のおすすめも面白いんですけど、エッセイもとても好きです。更新を心待ちにしております。 こんな感じでいつも通り集客力の無いレビューでした。ごめんなさいね! 2020/12/13追記: 最近よく読み返すので何か書こうかなと思った。この作品には誇張でなく泣きながらコメントを書いたことがある。それに、通し読みしてなおかつ応援コメントと返信まで見るような人は御存知のことと思うけれど、この作品は少なくとも一人の人間のリアルな生き死にをめぐる戦いが展開された”戦記”なのだ。作品全体を覚えているとは言わないけれど(大体覚えている自信はあるが)、”戦記”部分に関しては本文で何が書かれて、私が何を書いて、それに対して姫乃さんが何を返信したのかことごとく覚えている。だから記憶にはあるわけだけど、読み返して改めて凄まじいやり取りをしているなと思った。 私は先日Twitter上にある文章を上げた。実際のpvや評価なんかいらないのだという文章だった。割とすぐにフィクションだと断ったけれど、応援してくれている人の気持ちを削ぐものだったと、書いたことを後悔している。実際のところどうなのか。実際のところは、私は気が付くと指が動いてカクヨムを開いてpvや評価を目に入れてしまう人間であり、そのことに少し疲れていた。この、自分が気になって仕方がないものの先には何があるのだろうかと、ほとんど何も無いんじゃないかと、気になる分却ってそういうことを思った。 でも、それはやはり想像力が欠如しているというか、そのpvや評価の”数字”の裏側には私の作品に対して読んだり評価しようと思ってくれた一人一人がいるわけで、そのことはとてもありがたく思う。今付き合いのある人も私の作品から入って来てくれた人が多い。付け加えればレビューをいらないと思ったことはただの一度も無い。だからTwitterに上げた文章に関しては本当に後悔しているし、姫乃さんの気持ちを削いだのではないかと心配している。 姫乃さんに自分のやっていることの意味を考えさせてはしまわなかったかと。私一人がどうこう言っていても、別に姫乃さんは変わらないのかもしれないけれど。 そういう文脈で言うので、これから書くことは取り越し苦労で独り相撲なのかもしれないけれど、姫乃さんに自分のやっていることを意味が無いと思って欲しくはない。ジョブチェンジしたところこんなことを言って申し訳ないが、姫乃さんの書く文章は”魔法”であり、”末始終優れた物書きたちのやる気着火剤でありたい”だなんて願いはとっくに叶っているのだから。他の人の反応を見るに、別にこれは私に限った話ではないはずで。自分で書いていて余計なお世話感がひしひしとするのだけど、それでも、姫乃さんの書く文章で救われたし、救われている人間はいるよと、もう一度言いたくなった。 正直、”戦記”やレビューでなくても、姫乃さんの文章を読むだけで、その日は体調がいいのだなんてことを言うのは、やはりコスパが良すぎるようで恥ずかしいけれども。

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辰井圭斗

偉志倭人伝 ―宦官は蓮の花托の上で微睡む―

戸谷真子という作家の作品を読む幸福を

 後宮小説なのにまるで戦記物を読んでいるような気がするのは僕だけでしょうか。あまり血が流れることも無いのだけれど。しかし、やはりこれは闘う人の話です。主人公の宦官白木蓮が様々な人々と交差しながら闘い生きていく物語です。  僕はこの作品の最初の方で、ああこれはすごく作者の戸谷さんに合った主人公であり物語だなと思いました。戸谷さんも多分闘う人だから。  この小説を読む人は戸谷さんの書く文章が優しく穏やかで温かいと感じるはずです。でも時折というか底にはゾッとするような色気と闇がある。優しく穏やかなばかりでないということを知っている筈なのに僕は毎回不意打ちを食らわされます。そして震え、噛み締めるんです。戸谷真子という作家の作品を読む幸福を。  ストーリーテリングも素晴らしいです。後宮小説に辟易している方にこそ読んで欲しい。ドロドロや陰湿さではなく、人の強さと弱さ、そして愛しさがそこにあります。  追記:  水分を内にはらんだ人間の肌のしとっとした感じ分かりますか。あれを登場人物達に感じるんです。だからちょっとしたことにすごい色気がある。初めの方で木蓮が寝台に放られた後に覆いかぶさられるじゃないですか。僕、あの時に恐ろしいほどの色気を感じて。まだ何もしてないんですよ。なのに、二人の肌や息遣いを感じてしまって、何か読んではいけないものを読んだ気になったんです(戸谷さんの作品はしばしば読んではいけないものを読んだという感覚にさせられます)。  本作ではあらすじからも木蓮が自分の性をどのように受け止めていくかが一つ大きなポイントになっていることが分かります。彼は途中から女性的であることを求められるんですが、その一方で時折自分の(半ば失われた)男性性を自覚します。そのたびに僕はぞくっとしてしまうんです。そこに匂い立つような色気があるから。  そしてダークといってもいいんでしょうか。闇があります。僕は自分では割とダークなものを書いていたつもりだったんですけど、本作に比べれば全然でした。全然お子様だった。ダークさが主眼の物語ではないはずなんですが、時折それが姿を現すたびに震えます。こんなものを書くのかと。  正直に言うと僕は戸谷さんの作家性を感じると、ほんの少しだけ胸が痛むんです。僕はすでに戸谷さんのエッセイ(『小さな世界の話』)を読んでいて、その作家性の由来を考えてしまいます。だから少し胸が痛い(同情ではなく)。でも一方でこれは業が深い話なんですが、僕は今の戸谷さん……というと僭越でしょうから、今の戸谷さんが書く作品がとても好きなんです。僕はもちろん戸谷さんにお会いしたことも無いし、ほとんど何も知らないに等しいのですが。

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辰井圭斗