ハズレスキルと判断され、同じ立場の3人と共に国の駒として処分されかけた主人公。予め対策をしていたお陰で返り討ちにでき、帰還の方法を探して4人で旅に出る。ハズレどころか特殊な性能のスキルは実はトンデモチートで、その力で成長しながら冒険していく物語。
タイトルやあらすじの軽さに比べ、戦闘などかなりハードな面がある。
主人公の行動原理が最初から最後まで『元の世界に戻る』という一点にあり、その為に必要ならば非情とも思える行動をとったりもするが、『帰る』ことに貪欲なそのゆらがなさが好ましかった。
問答無用で召喚しておいて勝手な都合で殺そうとする人間や国、世界に対してのざまぁともいえる展開は小気味よいと思えた。
主人公が得るチート能力とそれに伴う無双状態に関しては好き嫌いが分かれそうかなと思うが、力を得るまでの苦労と努力を考えるとこれもまたありではないかと。
主人公が苦難を乗り越えて力を得る辺りの描写をサックリと飛ばして、または簡易な描写で済まされているため、どれだけ大変な思いをしてきたのかが伝わりづらくはなっていると思うが、自分や仲間が殺されてその時の痛みや苦しみ・後悔を覚えたまま過去に戻ってやり直して、また殺されて……を繰り返し続けた精神の疲弊がどれほどのものかと考えたら、よく無事でいられたなとさえ思うので。
メインは『元の世界に帰る為の行動』で、それ以外の描写を切り捨て気味に進んでいたからこそのサクサク感があり、一気に読み進めることができた。
ラストもなるほどそうなるのかと、すっきりした気持ちで読み終えることができた。
登録:2021/10/9 19:02
更新:2021/10/9 17:56