山奥にある犬啼村。そこには奉森教という土着信仰が根付いていた。
大学院で昆虫研究をしている「私」は犬啼村出身である友人に呼ばれ、その奇怪な村へ訪れることになる。
狗神信仰、仮面、強烈な香……奉森教の大祭を皮切りに次々と起こる猟奇殺人。そして「私」の身の回りに降りかかる奇妙な違和感と変化。
それらが「私」の手記を通して語られる。
不穏系ホラーかと思えば、後半からは予想外の展開に驚かされた。
ホラーのなかで一番「嫌だな」となるジャンルだったため、想像しただけで頭の天辺から爪先までぞわぞわした。
民俗学や生物学を織り交ぜつつ、全ての設定に無駄のない作品だ。